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ソウル雑踏事故

ソウルの路上で2022年10月29日、多くの人々が折り重なるように転倒、150人以上が死亡する雑踏事故が発生。

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ソウル雑踏事故、政治の駆け引きに 究明の主体は検察か国会か

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ソウルの雑踏事故を巡り、国会に招致された竜山警察署の前署長(左)とソウル警察庁の前人事教育課長=2022年11月16日、共同
ソウルの雑踏事故を巡り、国会に招致された竜山警察署の前署長(左)とソウル警察庁の前人事教育課長=2022年11月16日、共同

 10月29日にソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で日本人女性2人を含む158人が亡くなった雑踏事故を受け、与野党対立が激しさを増している。進歩系の最大野党「共に民主党」は、事故原因を国会主導で徹底追及する構えをみせており、主戦場は国会に移る可能性がある。守勢に立たされた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の出身母体である検察は、野党幹部が関わった複数の不正疑惑を巡る捜査を本格化して、揺さぶりをかける。【ソウル渋江千春】

政府の対応は「トカゲのしっぽ切り」

 雑踏事故に関し、共に民主党は警察庁に設置された「特別捜査本部」による捜査では身内に甘くなり、徹底的な調査が不可能だとして、聴聞会形式で行う国政調査の実施を求めている。世論を味方につけようと、全国で署名運動も始めた。

 これに対し、与党「国民の力」は、まずは警察による捜査を優先すべきだとして、野党側が求める国政調査実施には応じずに徹底抗戦する構えだ。

 事故を巡っては、警察のずさんな対応が特に問題となっている。梨泰院周辺の警備に割いた警察官は137人に過ぎず、事故発生の約4時間前から直前までに寄せられた緊急通報にも十分に対応していなかったからだ。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は16日「遺族は徹底した真相究明と責任者処罰を求めている。聖域のない国政調査だけが唯一の答えだ」と主張した。

 警察対応のまずさを知った尹氏は「(事件発生までの)4時間、ぼんやりと見ていただけだったのか」などと警察を厳しく叱責。政府が責任を持って原因究明と再発防止を図る姿勢を強調し、野党に有利な国会主導の事故調査にならないよう予防線を張った。

 だが、世論調査会社「韓国ギャラップ」が11日に発表した調査によると、事故発生後の政府の対応を「適切でない」とする回答が70%を占め、その理由に「責任回避でトカゲのしっぽ切りをしている」と挙げた人が最も多かった。

 尹氏が高校・大学の後輩で、事故直後から失言を重ねる李祥敏(イ・サンミン)行政安全相を更迭しないことにも批判が高まっている。多くの国民が事故後の政府の対応に不満を抱いており、与党と尹政権には逆風となっている。

 国会で過半数を占める共に民主党は24日の本会議で国政調査実施に向けた計画書の議決を強行する構えで、当面の間、雑踏事故の真相究明の方法を巡って、与野党間で激しい攻防が続く見通しだ。

李在明氏の側近逮捕、野党にも弱み

 世論の追い風を受け政権批判を強める共に民主党だが、組織的には大きな弱みがある。3月の大統領選で尹氏に僅差で敗れた後、6月の国会議員補選に当選し、8月末に党代表に選出された李在明氏の周辺が、収賄疑惑などで捜査されているからだ。

 19日に…

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