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「若きビリオネア」の転落 FTX破綻の真相を探る

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FTXのロゴと仮想通貨のイメージ=ロイター
FTXのロゴと仮想通貨のイメージ=ロイター

 米国に拠点を置く仮想通貨(暗号資産)交換所大手、FTXトレーディングが経営破綻した。債権者は100万人を超え、波紋は広がる一方だ。なぜ著名な仮想通貨交換所は突然、倒れたのか。日本の資産は大丈夫なのか。話題のニュースをゼロから探った。

「若きビリオネア」の転落

 きっかけはライバルの「つぶやき」だった。仮想通貨交換所大手、バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は11月7日、自身のツイッターでFTXが独自に発行したトークンと呼ばれる電子資産をすべて売却すると表明した。これを機にFTXの財政不安が一気に高まり、顧客が資産を引き出そうと殺到する「取り付け騒ぎ」に発展した。

 一時はバイナンスがFTXを買収する案も検討されたが、財務内容の悪化を受け合意翌日に一転して買収案は白紙になった。資金繰りに行き詰まったFTXは11日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して経営破綻に追い込まれた。

 関係者を驚かせたのは、FTXの経営が直前まで健全だと思われてきたためだ。創業者のサム・バンクマンフリード氏は1992年生まれの30歳。2019年にFTXを立ち上げ、わずか数年で世界有数の交換所に成長させた。米フォーブス誌は21年にバンクマンフリード氏の保有資産が265億ドル(約3・7兆円)に達したと試算しており、「若きビリオネア」と称されていた。

 宣伝方法もド派手だった。21年11月には米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手のグローバルアンバサダー就任を発表。女子テニスの大坂なおみ選手や米プロフットボールNFLのトム・ブレイディ選手らとも契約し、有名選手を知名度向上に利用してきた。

 バンクマンフリード氏自身、「SBF」の愛称で積極的な言論活動を展開。仮想通貨業界の規制強化をかわすため、米議会に巨額のロビー費用を投じるなど政治にも積極的に関わってきた。もじゃもじゃ頭の個性的な見た目を含め、業界を象徴する人物の一人として知られていた。

暴かれた実態

 「若き天才が作りあげた健全な仮想通貨交換所」。そんなFTXのイメージは、どうやらうわべだけだったようだ。

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