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来春に発足するこども家庭庁の「任務」の一つに、当たり前ではあるけれど実は難しい、子どもの意見の尊重がある。6月に成立した、こども基本法の理念で、国や自治体は意見を政策に反映する仕組みを作るよう義務づけられた。広く意見を聞くにはどうすればよいのか。大人たちの試行錯誤が始まっている。
「声を上げたい子の声は拾いやすいが、声を上げられない子の声をいかに拾い上げるか」
「公募すると、意識の高い子の声が集まりがち。結果的に、恵まれた家庭に育った子の意見が集まりやすい可能性がある」
日々子どもや若者と接する支援者や研究者を招き、内閣官房こども家庭庁設立準備室が8月に設立した意見反映プロセスの検討会で、こうした指摘が出された。
裏付けとなるようなデータがある。
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが18歳以下を対象にしたインターネット調査(今年6~7月、有効回答1050人)では、こども家庭庁に優先的に取り組んでほしいことの上位は、いじめ防止、学習支援、虐待予防だが、4位に「答えたくない」(13%)がランクイン。この設問には「わからない」という選択肢もあったが、こちらは2%にとどまる。
年代別にみると、小中学生では「子どもの意見を聞いて生かす」という選択肢が上位になる一方で、高校生ではあまり選ばれていないという結果も出た。
調査の担当者は「仮説だが、これまでの経験で良い変化を感じたことがないと考えられる。自分の声が聞かれない経験が続くと、声を上げたくなくなるのでは」と分析している。
どうすれば、よりよく意見を聞けるのか。実際に確かめるため、準備室は今月、モデル事業を始めた。
今月中旬の日曜日、東京・永田町のオフィスビルに、小学生から20代までの30人が集まった。いくつかのグループに分かれ、司会役の大人が問いかける。
「どんな聞き方なら意見が言いやすい?」「ここに来ていない子の声を聞くには、どうしたらいい?」。子どもたちからは「匿名がいい」「信頼できる人がいい」など周りの配慮を求める声が上がった。
なぜ子どもたちは慎重なのか。…
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