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感染最多の第7波で医師の残業3分の1以下に コロナの特性影響か

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医師の残業時間が大幅に減った東京都立駒込病院。病院側の取り組みも大幅に進んだ=東京都文京区本駒込で2021年5月11日、酒井雅浩撮影 拡大
医師の残業時間が大幅に減った東京都立駒込病院。病院側の取り組みも大幅に進んだ=東京都文京区本駒込で2021年5月11日、酒井雅浩撮影

 新型コロナウイルスの感染者が過去最多を記録した今夏の「第7波」で、東京都立駒込病院の感染症科で働く医師の時間外労働(残業)が、大幅に減っていた。ピークとみられる2020年8月には月の残業は最大349時間に達した同病院だが、22年7月は107時間と3分の1以下となった。病院の取り組みが進んだことに加え、新型コロナの特性が影響したようだ。【石田奈津子】

 毎日新聞は駒込病院の感染症科で働く常勤医師の残業時間について、これまで東京都に情報公開を2回申請した。対象期間は20年5月と20年7月~21年3月、21年7~9月。開示された資料によると、残業が最も多かった医師は「第2波」の20年8月に349時間残業していた。また初めての緊急事態宣言が発令中の同年5月では327時間に上っていた。

 コロナの感染が増えれば入院患者も多くなり、業務が膨大になる。例えば、重症で入院するとなれば血液検査の頻度を増やす必要がある。本人や家族への病状説明に時間がかかったり、容体変化に備えて夜も待機したりすることにもなる。

感染症科の医師が月300時間超の残業をしていた東京都立駒込病院。今はピークの3分の1に=東京都文京区本駒込で2021年5月11日午前10時23分、酒井雅浩撮影 拡大
感染症科の医師が月300時間超の残業をしていた東京都立駒込病院。今はピークの3分の1に=東京都文京区本駒込で2021年5月11日午前10時23分、酒井雅浩撮影

 さらに、駒込病院は感染症指定医療機関であるとともに、専門的ながん治療を担う「がん診療連携拠点病院」に指定されている。複数の診療科で高度な治療を提供しているため、病院内で人員を簡単に確保できず、感染症科に負担が集中して残業が大幅に増加したとみられる。

 毎日新聞は今回さらに、「第7波」に該当する今年6~9月について情報公開請求した。常勤医師4人のうち、最も残業時間が長かった医師で、6月73時間▽7月107時間▽8月106時間▽9月50時間だった。依然として長時間労働が続いているが、最も多い時期に比べ、3分の1以下に減少していた。

これまでの感染拡大時に比べ、「第7波」では残業時間が大幅に減少した=2022年11月21日、石田奈津子撮影(画像の一部を加工しています) 拡大
これまでの感染拡大時に比べ、「第7波」では残業時間が大幅に減少した=2022年11月21日、石田奈津子撮影(画像の一部を加工しています)

 改善された要因として、病院内の取り組みが挙げられる。初期の感染拡大時には他の診療科から応援医師を派遣してもらうのは困難だったが、現在は2週間ごとにローテーションで内科系、外科系の医師が応援に入る。病院の担当者は「感染が拡大したら応援を増やすなど、機動性が高まってきた」と説明する。

 オミクロン株が主流となり、かつて流行したデルタ株などと比べて重症患者の割合が下がったことも大きい。都が今月公表した資料によると、感染の波ごとの感染者の死亡率は20年末に始まった「第3波」では1・54%だったのに対して、「第7波」は0・09%で、今回公表した第3波と第5~7波の四つの期間の中で最も低かった。

感染の危険度に応じて赤、黄、緑の3色に区分された病院のフロア。「レッドゾーン」と書かれた張り紙の奥には病室がある=大阪市淀川区の市立十三市民病院で2020年6月2日、久保玲撮影 拡大
感染の危険度に応じて赤、黄、緑の3色に区分された病院のフロア。「レッドゾーン」と書かれた張り紙の奥には病室がある=大阪市淀川区の市立十三市民病院で2020年6月2日、久保玲撮影

 救急現場で働く医師は「今夏の都内で、救急搬送される患者の中に、高濃度の酸素投与が必要な重症者は以前と比べて少なかった。コロナの重症化リスクが低下し、軽症者が自宅療養するようになったのも大きい」と明かす。

 同病院の担当者も「重症だと感染症科の医師が診察せざるを得ないが、容体が安定していれば他の診療科の医師でも診られる」と説明する。

 ただ、コロナ患者の診察にあたる埼玉医大総合医療センターの岡秀昭・総合診療内科部長はこう指摘する。「コロナの肺炎による重症化は減ったが、コロナをきっかけに腎臓などの持病が悪化するケースは増えた。感染初期のように感染症科や呼吸器内科に負担が集中した段階から、他の診療科や地域の診療所も含めた医療全体に負担がかかるように変わってきた」【石田奈津子】

【新型コロナウイルス】

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