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職員不足解消狙い17年創部 ハナマウイ野球部 千葉・富里

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ニンジン畑に囲まれた、明るく開放的な「ハナマウイボールパーク」=千葉県富里市で2022年11月6日午後1時19分、近藤浩之撮影 拡大
ニンジン畑に囲まれた、明るく開放的な「ハナマウイボールパーク」=千葉県富里市で2022年11月6日午後1時19分、近藤浩之撮影

 JR総武線八街駅から北東に約4キロ。地域特産のニンジン畑に囲まれて、野球場「ハナマウイボールパーク」(千葉県富里市)はある。クラブ野球チーム「ハナマウイ」の本拠地だ。都内で通所介護施設を運営する会社「ハナマウイ」が母体。慢性的な介護職員不足に悩んでいた森賢司社長(66)が、スタッフ獲得のため2017年に女子野球部を創部したのが出発点だ。

 森社長は当時、都内の中学生野球チームの会長。放置されていたグラウンドをチームの練習場所として購入しており、これを「ボールパーク」に活用した。女子野球部のある大学などに「うちに勤めながら野球も続けたい人はいないか」と声を掛け、1年目で10人が集まった。翌18年には、全日本女子硬式野球選手権と全日本女子硬式クラブ野球選手権の両大会を制覇した。

 その勢いで19年、男子野球部も創部。監督には女子野球部のコーチでプロ野球・オリックスなどで活躍した本西厚博さん(60)が就任した。すると男子は翌20年、初参戦の都市対抗で本大会進出。21、22年には全日本クラブ野球選手権に連続出場し、一躍注目を集める存在に。女子は今も全国大会の常連だ。

森賢司ハナマウイ社長=千葉県富里市のハナマウイボールパークで2022年11月6日午後0時49分、近藤浩之撮影 拡大
森賢司ハナマウイ社長=千葉県富里市のハナマウイボールパークで2022年11月6日午後0時49分、近藤浩之撮影

 男子は選手32人の約6割、女子も選手13人の大半がハナマウイで介護に従事する社員選手。協力会社などで働きつつ休日に練習に参加する選手もいる。

 男子の新人社員選手の一人で桜美林大出身の中野航太外野手(23)は仕事について「送迎から始まり、食事の準備や体操、ゲームなどのレクリエーションを担当し、送迎で終了します。できることは何でもやります」。

 森社長は男子野球部の部長と女子野球部の監督・部長も務める。「女子の社員選手は、男子には難しい食事介助や入浴介助なども担当し、介護の資格を取ってもらっています。将来どこに行っても日本の介護を支えてほしいので。男子にも資格を取ろうと勉強している選手がいますよ」

 男女とも練習は週2日。日曜は全体練習で午前9時~午後6時。仕事のシフトなどによって水曜か土曜に班分けする。場所はボールパークのほか、近くに今年2月に完成した室内練習場も使う。森社長は「練習時間後も多くが熱心に自主練習する。平日の午後6時半に仕事を終えてから、室内練習場に来て深夜まで練習する選手もいますよ」。中野も「初めは練習時間の捻出が大変でしたが、ようやく慣れてきた。好きな野球が続けられることは最高にありがたい」と感謝を口にする。

本西厚博・男子野球部監督=千葉県富里市のハナマウイボールパークで2022年11月6日午後1時31分、近藤浩之撮影 拡大
本西厚博・男子野球部監督=千葉県富里市のハナマウイボールパークで2022年11月6日午後1時31分、近藤浩之撮影

 本西監督は現役時代に「球界一の外野手」と称された守備の名手だ。男子野球部の来季の青写真を「機動力と堅い守りで『守り勝つ』チーム」と描く。「四球や失策からの失点を防げば恥ずかしくない試合ができるレベルに達している。来季が楽しみで仕方ない」

 富里市は成田空港のある成田市に隣接し、ニンジンやスイカなどの名産地として県内では知られるが、全国的な知名度は高くない。それだけにハナマウイの活躍には地元から熱い視線が注がれる。「都市対抗本大会出場をきっかけに認知度が上がり、地元の方々に『次は東京ドームに応援に行くからね』と声を掛けられることが増えました」と森社長。

 同市教育委員会生涯学習課も「富里市を全国へPRしてもらっていると実感する」と期待しており、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたら野球教室など交流の場も積極的に設けるつもりだ。【近藤浩之】

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