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国民が安心できる年金制度に見直していかなければならない。2025年の改革に向けた議論が、厚生労働省の審議会で始まった。
25年には団塊の世代が75歳以上となる。来年公表される将来推計人口を踏まえ、年金水準を見直す財政検証が行われ、改革案がまとめられる。
年金を受給する高齢者が増える一方、支える現役世代が減る中で、制度の維持にとどまらない抜本的な改革が求められる。
20~59歳の全員が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員らが加入し、上乗せ給付のある厚生年金の2階建て構造になっている。
焦点となっているのが国民年金だ。支給は満額で月約6万5000円だが、財政基盤が弱いため、給付水準が40年代半ばに現状より約3割減るという試算がある。
加入期間を64歳まで延ばし、給付の目減りを抑える案が浮上している。
受給開始年齢は65歳まで引き上げられる。60代前半で男性の8割以上、女性の約6割が働いており、期間延長には合理性がある。
延長されると5年間の保険料の支払いは計約100万円に上る。退職して無職の人や自営業者など、国民年金だけに加入している人にとっては新たな負担となる。
厚生年金の財源の一部を国民年金にあてる考え方もある。給付水準の低下を抑える狙いがあるが、会社員など厚生年金の加入者からは反発も予想される。
国民年金は保険料だけでなく、2分の1は税で賄われている。給付が増えればその分、手当てしなければならない。
厚生年金の加入者を増やし給付を厚くする案も出ている。働く時間や勤め先の規模、業種によって国民年金にしか加入できないケースがある。こうした条件の見直しには、保険料の半額を負担する事業者の理解が欠かせない。
より多くの人に支え手となってもらうには、女性や高齢者などの就労環境をさらに充実させる必要がある。
年金は多くの人にとって老後の生活を支える柱だ。制度を維持するだけの数字のつじつま合わせでは意味がない。国民的議論に資するよう、公的年金のあるべき姿を示してほしい。