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「真っ暗闇の世界」ダイアログ・イン・ザ・ダークでわかったこと

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ダイアログ・イン・ザ・ダークとは
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは

 視覚障害者のアテンド(案内)で、光のない世界を探検する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、完全に光を遮断した空間で、どのように他者と情報を共有し、意思疎通を図るかを体感する「ソーシャルエンターテインメント」だ。アテンドする「暗闇のエキスパート」にとっては、自分たちの特性や能力を発揮できるだけでなく、多くの人と出会う場でもある。東京・竹芝にある施設で記者が実際に体験した。【明珍美紀】

白杖を持って施設の中へ

 「本日はみなさんに運動会を楽しんでもらいます」

 JR浜松町駅の近くにある、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」。アテンドスタッフの瀬戸洋平さん(41)が「秋のまっくら大運動会」と書かれた看板のそばで参加者に呼びかけた。

 この日、一緒に暗闇を探検したのは記者の私を含め30~50代の計8人。うち5人は社会勉強のため私的に参加したJRの社員だ。「暗闇の中で運動会ねえ」とそれぞれ首をひねりながらも、用意された赤いはちまきを頭に締めて、中に入った。

 本当に真っ暗だった。入り口で渡されたのは視覚障害者用の白杖(はくじょう)。「つえの先を自分の肩幅より少し広めに左右に振って歩けば、障害物や段差に気づくことができる」という瀬戸さんの助言に従って、そろそろと歩く。つえが前を歩いていた人の足に当たった。「どなたですか」と問うと、「たっちゃんです」。「私(記者)はミッキー」。施設内では互いに親近感や対等の立場と感じられるよう、ニックネームで呼び合った。

 準備体操をして体が温まったところで、「次は隣の人と手をつなぎ、円くなってください」。瀬戸さんの指示通り両手を広げて輪を作っていると、「おまえの指って意外ときゃしゃだな」という声が。JRの社員同士の会話だが、「手の感触だけで…

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