能登地震の地下構造を地震波で解析 水の存在確認 東工大チーム

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石川県能登地方で6月20日に震度5強を観測した地震で、土砂が崩れ落ちる観光名所の見附島=石川県珠洲市で2022年6月20日午前10時32分、国本ようこ撮影 拡大
石川県能登地方で6月20日に震度5強を観測した地震で、土砂が崩れ落ちる観光名所の見附島=石川県珠洲市で2022年6月20日午前10時32分、国本ようこ撮影

 2020年12月から群発地震が活発化している石川県の能登半島で、他の場所と比べて地下に広く水が存在していることを、東京工業大の中島淳一教授(地震学)らの研究チームが地震波の解析から確認した。欧州の専門誌で発表した。火山のない地域での群発地震は珍しく、地下の水の存在が発生のメカニズム解明の鍵になることが期待される。

 一般的に、地下に水やマグマがあると、地震が起きた時に地上の観測点へ届く地震波の速度は遅くなる。この現象を利用して、地震波の観測から地下構造を調べる「地震波トモグラフィー」という手法がある。中島教授らはこの手法で、群発地震が活発化する前の03~20年の間に能登半島周辺で起きた地震約3万7300回(震度1以上)を解析した。その結果、周囲に比べて速度が遅くなる領域が、能登半島北部の地下約20~40キロあたりで北東―南西方向に分布していることを発見。この領域の地下構造が周囲と異なることが確認された。

東京工業大の研究チームが「地震波トモグラフィー」の手法で調べた、能登半島の深さ約40キロまでのS波の速度分布。S波の速度が遅い領域を暖色、速い領域を寒色で示している。★印は2007年能登半島地震の震源、赤い点はおととし12月から活発化している群発地震の震源=中島淳一・東工大教授提供 拡大
東京工業大の研究チームが「地震波トモグラフィー」の手法で調べた、能登半島の深さ約40キロまでのS波の速度分布。S波の速度が遅い領域を暖色、速い領域を寒色で示している。★印は2007年能登半島地震の震源、赤い点はおととし12月から活発化している群発地震の震源=中島淳一・東工大教授提供

 さらに、小刻みに揺れる初期微動(P波)と、遅れて伝わり、より強い揺れをもたらす主要動(S波)のそれぞれについて、地下構造の違いによって速度が遅くなる割合を分析。その結果から、この領域にあるのが水であると特定できたという。

 中島教授は「地震が起きる過程では断層を滑らせる地下の流体の存在が不可欠で、群発地震に限らず、過去の大地震でも確認されている。ただ、なぜ群発地震になるのかはよく分かっておらず、メカニズムを知るには今後、流体の供給量などを調べていく必要がある」と話している。

 政府の地震調査委員会(委員長・平田直(なおし)東京大名誉教授)によると、能登地方では20年12月から今年11月までに震度1以上の地震が230回以上発生。規模が最大だったのは6月のマグニチュード(M)5・4の地震で、最大震度6弱を石川県珠洲(すず)市で観測した。地震調査委は7月、「(地下の)流体が関与している可能性が考えられるが、現時点でどのように関与しているかはわかっていない」とする委員長見解を出している。群発地震のメカニズムの解明に向けて、電気伝導度の測定や重力観測、温泉水の分析など、さまざまな調査研究が続けられている。【垂水友里香】

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