連載

14色のペン

国内外の異なる部署で取材する14人の中堅記者が交代で手がけるコラム。原則、毎日1本お届けします。

連載一覧

14色のペン

「悲惨で絶望的」な審議 緊急承認巡る日米の差

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
新型コロナ治療薬「ゾコーバ」の緊急承認の可否を議論した厚労省の合同会議=東京都千代田区で2022年11月22日午後5時1分、長谷川直亮撮影
新型コロナ治療薬「ゾコーバ」の緊急承認の可否を議論した厚労省の合同会議=東京都千代田区で2022年11月22日午後5時1分、長谷川直亮撮影

 新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬として、塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」の医療現場への供給が始まりました。重症化リスクのない人も服用可能な飲み薬で、私も感染したら医師に処方を求めるかどうか、考えながら審議会の議論に耳を傾けたのですが……。【くらし医療部・横田愛】

 賛否の票数も分からぬままの「議決」だった。

 「そろそろ時間が参っております。よろしいでしょうか」

 22日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会などの合同会議。午後7時まで残り3分と迫った頃、分科会長を務める太田茂・和歌山県立医大教授が、居並ぶ委員を見渡して声をかけた。

 この日の議題は、塩野義製薬の新薬「ゾコーバ」に、緊急承認を適用するか否か。

 「緊急承認を可とする旨、議決したいと思うがよろしいでしょうか」

 太田氏の呼び掛けに、山梨大の島田眞路学長1人が「私は反対します」と声を上げた。だが、32人の出席委員の大半は沈黙。数秒後に太田氏が「賛成が多数と認めたいと思います」と宣言して、会議は終わった。

 「悲惨で、絶望的」。合同会議を視聴した、東京大の小野俊介准教授(薬学)に翌日連絡を取ると、静かな、しかし怒りを含んだ口調で、こう論評を始めた。

 …

この記事は有料記事です。

残り1329文字(全文1846文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集