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新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬として、塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」の医療現場への供給が始まりました。重症化リスクのない人も服用可能な飲み薬で、私も感染したら医師に処方を求めるかどうか、考えながら審議会の議論に耳を傾けたのですが……。【くらし医療部・横田愛】
賛否の票数も分からぬままの「議決」だった。
「そろそろ時間が参っております。よろしいでしょうか」
22日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会などの合同会議。午後7時まで残り3分と迫った頃、分科会長を務める太田茂・和歌山県立医大教授が、居並ぶ委員を見渡して声をかけた。
この日の議題は、塩野義製薬の新薬「ゾコーバ」に、緊急承認を適用するか否か。
「緊急承認を可とする旨、議決したいと思うがよろしいでしょうか」
太田氏の呼び掛けに、山梨大の島田眞路学長1人が「私は反対します」と声を上げた。だが、32人の出席委員の大半は沈黙。数秒後に太田氏が「賛成が多数と認めたいと思います」と宣言して、会議は終わった。
「悲惨で、絶望的」。合同会議を視聴した、東京大の小野俊介准教授(薬学)に翌日連絡を取ると、静かな、しかし怒りを含んだ口調で、こう論評を始めた。
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