有料認証マークやアカウント復活 ツイッター改革で見過ごせない問題

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流し台を担いでツイッター本社のロビーエリアに入るイーロン・マスク氏=マスク氏のスクリーンショットより、AP
流し台を担いでツイッター本社のロビーエリアに入るイーロン・マスク氏=マスク氏のスクリーンショットより、AP

 短文投稿サイト「ツイッター」が揺れている。最高経営責任者(CEO)となったイーロン・マスク氏は、認証マークについて有料で取得できる方法に改め、永久停止とされていたドナルド・トランプ前米大統領のアカウントを復活させた。矢継ぎ早に打ち出す改革手法には、見過ごせない問題がある。【大野友嘉子】

統治者を監視する仕組みが不足

 マスク氏は収益の大半を広告に依存する構造からの脱却を表明している。憲法学が専門で、デジタルプラットフォームの問題に詳しい関西大学社会学部准教授の水谷瑛嗣郎さんは、ビジネスモデルの転換に賛成する。

 プラットフォームを巡っては、ユーザーの特性に合わせたコンテンツが表示されるレコメンドシステムの問題が指摘されてきた。情報の質よりも、人々の関心や注目を集めた方が大きな経済的利益を得られる「アテンションエコノミー」との結びつきだ。

 水谷さんは「広告を見てもらうために、ユーザーをプラットフォームに依存させることが重要になり、社会的に意義のある情報よりも、好みや刺激の強いコンテンツに偏る恐れがあります」と話す。プラットフォームの脱広告依存は、ユーザーの情報の偏りを解消する一つの処方箋だ。

 マスク氏はこれまで著名人や企業に限ってきた認証マークについて、月額料金を支払った利用者に付与する方針も示した。矢継ぎ早の改革について、水谷さんは「マスク氏の派手さに目を奪われがちですが、ツイッターが抱える構造的な課題が改めて浮き彫りになりました」と話す。

 ツイッターは、利益を追求する企業であると同時に、現代の言論活動に欠かせない公共性の高い場を提供している。「場の管理者」として政府と肩を並べるほど強い力を持つ存在とも言えるといい、水谷さんは「(フェイスブックを提供する)メタと同様にツイッターは『新たな統治者』と呼ばれる存在です。それにもかかわらず、『統治者』の動向を監視、統制する仕組みが不足しています」と指摘する。

月8ドルの認証マーク

 認証マークは今月、月額8ドル(約1100円)でいったん販売をスタート。従来は無料で、付与される基準はアカウントが「信頼できる」「著名である」「アクティブである」ことだった。付与を求めるユーザーは、身分証の提示や自身について複数回、言及している報道機関の記事などを提供しなければならなかった。

 従来の条件を満たしていた認証マークはどうなるのか。あるユーザーが、ツイッターにこの疑問を投稿すると、マスク氏はリプライ(返信)で「課金のない従来の認証マークは数カ月のうちに取り上げる」と明かした。また、当初月20ドル(約2800円)の課金を計画していると一部メディアで報じられた際、作家のスティーブン・キング氏が不満のツイートをすると、マスク氏はここでもリプライで「値引き案」を提示した。

 水谷さんは一連の流れについて、こう疑問を呈する。「大きな仕様変更であるにもかかわらず、非常に性急に進めたように感じます。なりすましの防ぎ方についての疑問に丁寧に答える特設ページをつくるなど、透明性を高め、移行期間を設けて慎重に実装していくべきでしょう」

課金すれば昇格、しなければ格下げ

 認証マークの新プランは、限られた人にしか与えられなかった認証の門戸が開かれ、良い面があるように思える。しか…

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