- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

大阪府の吉村洋文知事が、まもなく1期4年の任期(2019年4月~23年4月)を終える。その発言を検証する今回のテーマは「大阪都構想」。吉村氏が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の看板政策だが、2回にわたる住民投票で否決されて頓挫した。吉村氏は否決後、一度は「都構想は間違っていた」と述べたものの、それを翻すように3回目の挑戦に含みを持たせる発言をしている。その変遷を追った。【石川将来】
住民投票前は「否決なら終了」
政令市の大阪市を廃止し、東京都のような特別区を設置する――。そんな都構想の是非を問う住民投票(2回目)まで1カ月を切った2020年10月6日。府政記者会の記者が、取材の場で吉村氏にある重要な質問をぶつけた。「同じ可決でも、僅差と大差の場合がある。それは都構想の進め方に影響を与えるか」。これに対する吉村氏の回答は明快だった。「与えないと思う。可決か否決、二つに一つしかない。僅差でも大差でも、否決なら終了。僅差でも可決となれば僕と松井(一郎・大阪)市長で確実に進めていく」
この時、各報道機関の世論調査では徐々に差が詰まりつつあったものの、軒並み賛成が反対を上回っていた。維新内部でも可決を見越した楽観的な声が聞かれた。吉村氏には、可決後は反対派の声に悩まされることなく都構想の手続きを進めようとの思いがあったのかもしれない。
しかし、11月1日に行われた住民投票の結果、賛成67万5829票(得票率49・37%)、反対69万2996票(同50・63%)の僅差で否決に終わった。…
この記事は有料記事です。
残り1437文字(全文2086文字)