異次元緩和が日本を救った 「アベノミクス」生みの親が語る真実
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黒田東彦・日銀総裁が主導してきた異次元の金融緩和を、日本経済の「救世主」と評する人物がいます。地方創生担当相などを務めた山本幸三さん。安倍晋三元首相のブレーンとして政府の経済政策をリードしてきました。「アベノミクス」の生みの親とも言われる山本さんが見る異次元緩和の真実とは。【聞き手・岡大介】
現行路線継続を
――異次元の金融緩和をどう評価しますか。
◆黒田氏が日銀総裁に就任した2013年当時、日本経済は株安や失業など長期不況に苦しんでいました。そこから日本経済を再浮上させた救世主が異次元緩和です。賃上げを伴う安定的な物価上昇の実現という目標を達成するまで、現行路線を継続することが重要です。黒田氏の任期は来年4月までで、半年を切りましたが、それが最大の使命だと言っていいでしょう。
――改めて、安倍政権下で日銀が異次元緩和を手がけるようになった経緯を教えてください。
◆第2次安倍晋三政権がアベノミクスを打ち出すまで、日本経済は約20年もの間、デフレ(物価下落)状態にあえいできました。その一因が金融政策です。それまでの日銀は経済を下支えするため金融緩和を実施しても、効果が不十分なうちにすぐに金融引き締めに走ってきました。こうした流れを変えるには、金融政策を大転換させる必要があると私は強く感じていました。
私がこうした思いを安倍氏に伝えたのは、自民党が下野して民主党政権が発足したころでした。安倍氏も従来の日銀の慎重姿勢に違和感を覚えていたこともあり、私の考えに強く共鳴してくれました。安倍氏が金融緩和に積極的な「リフレ派」の理論を学んだ上で、第2次安倍政権発足と同時に打ち出したのがアベノミクスです。その「第一の矢」に金融政策を据えたのも、日銀の政策を刷新する必要があるとの思いを具現化したものです。13年にはアジア開発銀行(ADB)総裁で、アベノミクスにも理解を示す黒田氏を日銀総裁に据え、実際にこの2人で金融政策を一新させていったのです。
従来の金融緩和「信用されず」
――異次元緩和はこれまでの日銀の金融政策と何が違ったのでしょう?
◆異次元緩和の基本は金利の上げ下げではなく、お金を大量供給することで物価を高めようとする「量的金融緩和」という手法です。量的緩和自体は、黒田氏の専売特許ではありません。それ以前から日銀でも量的緩和策を打ち出していました。しかし、それまでの量的緩和は規模が中途半端過ぎました。市場からも効果を信用されず、目立った成果を上げることができませんでした。
これに対し、黒田氏は就任直後の記者会見…
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