「社員に申し訳ない」中小企業、非正規は賃上げ困難 物価高の春闘
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2023年春闘では物価高への対応が焦点になるが、しわ寄せを受ける中小企業や非正規で働く人の多くは、賃金改善を望むことすら難しい状況だ。
電気代、昨年の倍以上に
ウクライナ危機などでエネルギー価格が上昇し、円安で輸入に頼る製品資材も高騰している。国内労働者数の約7割が働く中小企業の多くは、こうした影響をもろに受け大企業より厳しい状況に置かれている。
金属切削加工の富士精器(東京都目黒区)の藤野雅之社長は「(コロナ禍からの回復で)売り上げは昨年より上がっているが、利益が伸びない」と悩む。特に心配なのが工場の電気代の上昇だ。21年7月は38万円だったが、22年9月には90万円に増えた。取引先に説明しても理解を得るのが難しく、価格転嫁が難しいという。藤野社長は「給料を上げてほしいという気持ちは分かるが、資材費も高騰している。十分な利益が出れば人件費も上げられるのに」と、もどかしそうに言う。
連合は賃上げ原資の確保が難しいこうした企業への支援を求めており「コスト上昇分を取引価格に反映させることができるようにすべきだ」と政府に注文を付ける。自動車の下請けなど中小製造業の労組などが集まる「ものづくり産業労働組合」(JAM)は、個別の組合ごとに会社に物価上昇などを踏まえた適正価格での取引要求を掲げる方向で調整している。
半導体不足 人手も足りず
自動車向け部品などを手がける日進工業(東京都大田区)は価格転嫁はできているものの、世界的な半導体不足で車の生産が落ち込んだ影響で、コロナ禍前と比べ売り上げが約3割も減った。自動車業界は長期にわたって安定的に取引ができる利点があるが、災害やコロナ禍のような非常事態に弱く、近年は医療や健康関連の事業にも力を入れている。賃上げは厳しい状況で、竹元盛也社長は「社員に申し訳ない。まずは受注を増やし利益を出すしかない」と話す。
サービス業も、飲食など一部はコロナ禍からの回復に伴う人手不足で賃金が上がっているが…
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