脳波で操作 ALS患者がロボットによる接客に込めた思い
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「まずは、皆さんに手を振ってみますね」
男性の声が響いてから数秒後。白いボディーに、緑色に光る目をした近未来的なデザインのロボットの左手が上がり、ゆっくりと左右に揺れた。数十人の観客から「おおー」と感嘆の声が上がった。
このロボットを操っていたのは、全身の筋肉が動かせなくなる難病を患う武藤将胤(まさたね)さん(36)だ。11月23日、東京都内の店舗を借り切り「世界初の公開実験」に挑戦した。頭の中で念じるだけで、高さ約120センチの分身ロボット「オリヒメD」を動かし、接客するという試みだ。
武藤さんは広告代理店に勤務していた2014年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。人工呼吸器をつけるために気管を切開し、20年に声を失った。キーボードは打てなくなったが、視線で入力する装置を駆使して文章を作り、過去に録音した自分の声を基にした合成音声で読み上げている。
現在は、DJや服飾のデザイナーとして活動する武藤さん。この日はバーが1日限定のアパレル店となり、武藤さんが考案したジャケットやTシャツが並んだ。「ペットボトルを再利用した生地を利用しています」。ロボットの手の動きに合わせ、武藤さんはおすすめの商品や着こなし方も説明した。
武藤さんはどのようにロボットを操作していたのだろうか。
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