流行作家・瀬戸内晴美が「寂聴」になった理由 元秘書・長尾玲子さん

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瀬戸内寂聴さん=京都市左京区のみやこめっせで2008年3月15日、森田剛史撮影
瀬戸内寂聴さん=京都市左京区のみやこめっせで2008年3月15日、森田剛史撮影

 流行作家・瀬戸内晴美は、なぜ出家し、「瀬戸内寂聴」になったのか。長年にわたって秘書として創作を支え、親族でもある長尾玲子さんがこのほど刊行した「『出家』寂聴になった日」(百年舎)は、その謎に迫る評伝小説だ。「寂聴さん」として多くの人に慕われた作家の、知られざる内面に光を当てた。【関雄輔】

「はあちゃん」の突然の出家

 長尾さんは、母親が瀬戸内さんのいとこ。1970年からしばらくの間、「はあちゃん」こと瀬戸内さんと同じマンションの別フロアで暮らし、家族ぐるみの付き合いがあった。当時中学生だった長尾さんは、執筆の資料探しなどを頼まれるようになり、速記やライターなどの仕事を経て、2010年まで秘書を務めた。

 73年、51歳の瀬戸内さんは岩手県・中尊寺で突如として得度し、世間を驚かせた。「かの子撩乱(りょうらん)」(65年)や「美は乱調にあり」(66年)などの作品を次々と発表し、テレビや雑誌で注目を集めていた時期だった。東京に戻ると、マスコミから隠れるように長尾家に身を寄せた。

 出家については、さまざまに語り、語られてきたが、はっきりした動機は分かっていない。長尾さんは「何度も尋ねたことがあるのですが、その度に答えが変わるんです。最初ははぐらかしているのかと思ったのですが、どうやら本人も分からなかったようです」と振り返る。

 「ホップ、ステップ、ジャンプ、みたいに簡単じゃないのよ」。…

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