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札幌五輪の計画再修正 招致への疑問募る一方だ

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 2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す札幌市が開催計画を見直した。昨年11月に続く再修正である。

 「透明性・公正性の確保」という項目が新たに加わった。昨年の東京大会のスポンサー選びを巡る贈収賄事件を受け、組織委員会の理事会やマーケティング事業のあり方を検討するという。

 しかし、事件の検証も終わらないうちに、どのように改革を進めるのか。「検討する」だけでは招致への賛同は得られまい。

 計画の再修正で、大会経費は昨年11月段階より170億円多い総額2970億~3170億円に膨らむ。物価高や為替相場の変動が理由という。状況次第で今後も拡大する可能性がある。

 大会運営費を民間資金で賄う方針は変わらない。事件の影響で協賛金集めは厳しいと予想され、不足分は税金で補わざるを得ない。

 競技会場に新たな問題が浮上しているのも気掛かりだ。フィギュアスケートとスピードスケートの両会場について、競技団体側から懸念が示されている。

 フィギュア会場として予定する札幌市東区の「つどーむ」は丘珠(おかだま)空港に隣接し、飛行機の騒音が競技の妨げになる恐れがある。

 スピード会場となる北海道帯広市の「明治北海道十勝オーバル」は、客席が仮設を含めても2255席しかない。1998年長野大会で使用したエムウェーブの6500席の3分の1程度で、収容力不足が指摘される。

 東京大会ではマラソンをはじめ、複数の競技で会場が変更になり、物議を醸した。開催が決まった後に会場が変わるようでは、またも大きな混乱が起きかねない。

 バンクーバー(カナダ)とソルトレークシティー(米国)も招致に名乗りを上げている。だが、バンクーバーは地元州政府が財政上の理由で難色を示し、暮らし重視の観点から不支持を表明した。

 開催地は来年9~10月の国際オリンピック委員会総会で決まる。札幌市で来春予定される市長選でも招致問題が争点の一つになるとみられている。

 現状の計画では疑問が募るばかりだ。まずは住民が将来を見据え、招致の妥当性を判断できる環境を整えなければならない。

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