節電と値上げの冬 電力消費の多い製造業の苦境 脱炭素で割高に
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2015年度以来7年ぶりとなる冬の節電要請期間が1日、スタートした。ただ、資源価格の高騰や円安による物価上昇(インフレ)に直面する企業の間では、すでに節電でコスト削減を図る動きが広がっている。電力消費の多いある製造業者を取材すると、政府が推進する脱炭素化の取り組みにより電気代は割高に。ところが、政府の電気代補助制度からは取り残されるという苦境が見えてきた。
節電努力の積み重ね
「10分程度の短い休憩でも金属プレス機のスイッチを切るようにしている」。プレス加工業の大和金属工業(本社・大阪市)の橋本孔志社長(50)はこの冬から、生産の主力を担う福井県越前市の工場などで節電を徹底している。
すべての生産設備の電源をできるだけオフにして待機電力を減らしたり、室内灯を間引いたりと、細かい努力を積み重ねる。ただ、福井の冬は厳しく、消費電力が多くてもエアコンの使用を減らすわけにはいかない。同工場で働く約60人の従業員の「職場環境に必要なコスト」として従来通り25度に設定するという。
少しでも負担を軽減しようと、政府が実施する「節電プログラム」に参加した。プログラム参加企業には政府が電力会社を通じて20万円分のポイントを付与し、電力使用量を前年同月よりも3%以上減らせば、追加で月2万円分のポイントが上乗せ支給される仕組みだ。
それでも電気代の負担は重い。同工場の1カ月当たりの…
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