中村哲さん石碑に異例の写真掲示「タリバン、なぜ」 現地の人の思い
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澄んだ青空の下、乗用車やオート三輪車がせわしなく行き交う音が響く。アフガニスタン東部ナンガルハル州ジャララバードの一角に今年10月、ある日本人をたたえる石碑が完成した。碑の真ん中にあしらわれたのは現地で農業・医療支援に尽力し、2019年12月に凶弾に倒れた医師の中村哲さん(当時73歳)の写真だ。偶像崇拝を禁止するイスラム主義勢力タリバンが統治する現在のアフガンで、個人の写真を掲げて顕彰する例は極めて珍しいとされる。
NGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表を務めた中村さんは19年12月4日、ジャララバード近郊で武装集団の襲撃を受け、同行した5人とともに命を落とした。
中村さんしのぶ広場タリバン復権後も
30年以上アフガンなどで支援に奔走し、「カカ・ムラド」(中村のおじさん)と呼ばれ、親しまれた中村さん。現場近くに石碑を中心とした広場を造ろう、という計画がガニ前政権時代に持ち上がり、昨年8月に実権を掌握したタリバン暫定政権も必要性を認めて工事が継続された。
今年11月下旬に記者が現地を訪れると、隣州に向かう大通りの中央分離帯に造られた全長260メートルの広場には芝生が敷き詰められ、小さな苗木が枝を伸ばしていた。碑には英語、現地語に加えて日本語で書かれた解説もあった。「いつかこの地を訪れた日本の人々にも読んでほしい」との願いが込められているという。
異例の写真掲示、アフガン人特別な思い
「タリバンは写真を認めてこなかったのに、なぜ」。ペシャワール会の実動組織である「平和医療団(PMS)」で工事関連の業務を担当するディーダル・ムシュタクさん(53)は今夏、地元当局と業者から顔写真の提供を依頼された驚きをよく覚えている。
PMSで長年活動してきた医師のジア・ウル・ラフマンさん(66)は「ドクター・サーブ(お医者様、中村さんの敬称)は『政権は変わるが、人々は変わらない』と言っていました」。活動への理解がアフガンで広がった結果、「政治的な立場にかかわらず、人々の中に中村医師への特別な思いがあるのでしょう」と説明する。
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