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「すずめの戸締まり」新海誠監督 「反響に当てられ」寝込んだ理由

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新作「すずめの戸締まり」についてのインタビューに答える新海誠監督=東京都千代田区で2022年11月28日、三浦研吾撮影
新作「すずめの戸締まり」についてのインタビューに答える新海誠監督=東京都千代田区で2022年11月28日、三浦研吾撮影

 ロケットスタートを切った新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」。公開から3週で興行収入は70億円に迫る。「君の名は。」(2016年)、「天気の子」(19年)をしのぐ勢いだが、新海監督は「期待に応えられたかどうか」と気をもんでいる。それまで背景に置いていた東日本大震災を前面に打ち出した「重い作品」で、観客の反応を切実に知りたいと語る。【聞き手・勝田友巳】

作品を差し出すときの重さ

 ――興行は順調ですね。

 新海 楽しんでくれる人がこれだけいるというのは、励みになりますけどね……。実は昨日、熱出して寝込んでたんです。映画の公開後に反響の言葉に当てられて寝込むのは「星を追う子ども」(11年)以来で久しぶり。感想の多くは「とてもよかった」だった気がしますけど、否定的なものも含めて波のようなものを体全体で感じて、クラクラしています。

 ――「君の名は。」「天気の子」も大作でしたが、そちらではなかったんですか。

 新海 「君の名は。」はわりと自信作だったし、「天気の子」も「どうだ」と戦いを挑むような気持ちがありました。でも振り返ると、「すずめの戸締まり」までの3本は明快な連続性が自分の中にあって、8年分の作品のような気がしています。差し出すときの重さ、深刻さが違ったんでしょうね。出してみるまで気付かなかった。

 監督は作品のあらゆる領域に責任を負えるわけではないし、作品の完成度を目指せばいいと思っています。でも今回は重いテーマを含んでいて、それをこれだけ大々的に公開するのは賭けのようなもの。映画会社も劇場も、そこに乗ってくれた。僕を信じてくれたことへの責任を感じています。ベストは尽くしたとは思いますが、難しいですね。

東日本大震災を直接取り込んだ

 ――重いテーマというのは、東日本大震災のことですね。「君の名は。」の彗星(すいせい)も「天気の子」の異常気象も、震災のメタファー(暗喩)だったとのことですが、今回ははっきりと物語の中で表現しています。

 新海 僕は被災はしませんでしたが、衝撃はすごく受けました。「君の名は。」を作った時から、当事者ではない、エンタメを作る立場の自分たちに、何が言えるんだろう、何ができるんだろうと、ずっと考えてきた。後ろめたさを抱えていたし、時間がたってその後ろめたさが薄まっていくことを何より後ろめたく感じていた。映画の形でなんとか世の中に戻していこうとあの頃から思ってきました。

 そして2作を積み上げてきた今であれば、震災をはっきりと表現できるだろう、直接的に扱っても、映画館の人たちが乗ってくれると思ったんです。日本のエンタメや文化の中で、震災を語ることが少しだけやりやすくなるんじゃないか、風通しをよくできるんじゃないかという、大それた望みもありました。それが十全にできたのかまだ不透明で、マクラを高くして寝られない気分です。

同じテーマを語り直した震災3部作

 ――3部作ということでしょうか。

 新海 世界観も…

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