「抑止効果」に残る疑問と懸念 反撃能力保有で自公が合意
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自民、公明両党は2日、相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有容認で合意した。これを受け、政府は具体的な装備や運用方法の検討を本格化させる。しかし、政府・与党が主張する抑止力の強化につながるのか疑問も残る。【畠山嵩、日下部元美、川口峻】
「戦後の一貫した防衛力体制の中で大きな変化になる。意義は大きい」。自民党の小野寺五典元防衛相は2日、国会内で記者団にこう語り、政府による反撃能力の保有を容認した自公合意の意義を強調した。
歴代政権は、敵基地攻撃について「ミサイル攻撃などを防御するために、他に手段がないと認められる限り、自衛の範囲に含まれる」とする見解を取ってきた。ただ、実際には政策判断として、その能力を保有してこなかった。
「平和の党」を掲げる公明党は「周辺国の警戒感を高めかねない」として、反撃能力の保有に慎重な姿勢を示してきた。今回、容認にかじを切った背景には、北朝鮮や中国のミサイル能力の向上がある。
北朝鮮は今年だけでミサイルを34回発射し、変則軌道のミサイルの発射も重ねる。変則軌道のミサイルは、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)など日本のミサイル防衛システムでは撃ち落とすのが難しいとされる。
さらに中国は日本に届く射程1000~5500キロの地上発射型弾道ミサイルを約900発保有するとされる。これに対し、日本国内には、在日米軍基地も含め、このタイプのミサイルは配備されていない。
公明の佐藤茂樹外交安全保障調査会長は11月27日のNHKの番組で「今の迎撃システムだけで国民の命を守り切れるのか。相手に攻撃を断念させる抑止力として、反撃能力を位置付ける意義は(自民と)共有している」と述べた。
だが、日本は憲法9条の下、武力の行使を自衛のための「必要最小限度」にとどめる「専守防衛」に徹してきた。反撃能力を行使して相手国を攻撃すれば、…
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