連載

14色のペン

国内外の異なる部署で取材する14人の中堅記者が交代で手がけるコラム。原則、毎日1本お届けします。

連載一覧

14色のペン

本命は「令和」でなかった 漢学者が込めた平和への思い

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
公益財団法人・斯文会が管理する湯島聖堂の入り口=東京都文京区で2020年7月、野口武則撮影
公益財団法人・斯文会が管理する湯島聖堂の入り口=東京都文京区で2020年7月、野口武則撮影

 師走を迎え、令和4年も残りわずかとなりました。平成に代わる新元号は、実は「令和」でなく別の案が当初は本命とされていました。「元号は時代に色を付けるもの」と生前に話していた漢学者は、幻の案にどのような思いを込めたのでしょうか。【論説室・野口武則】

 平成に代わる新たな元号案が安倍晋三首相(当時)に初めて示されたのは、発表まで1カ月を切った2019年3月初めのことだった。安倍氏は「情報が漏れるから、私に伝えるのは直前でいい」と、元号を担当する首相官邸の事務方に話していた。

 事務方が絞り込んだ十数案は、過去の元号にないか、人名、店名などで俗用されていないか、意味がふさわしいか、などのチェックを事前に経たものだ。

 当時の官邸関係者によると、事務方の間で本命とされていたのは、漢籍を出典にした案だったという。響きも意味も出典もオーソドックスで、伝統に沿っていた。

 ところが、安倍氏は過去に採用されたことがない国書を典拠とすることにこだわり、選考は難航した。安倍氏が納得する案がないため、3月下旬になって政府が考案者に再提案を求め、発表直前に万葉集を典拠とする「令和」に決まったのは周知の通りだ。

 では本命はどのような元号案だったのか。

 …

この記事は有料記事です。

残り1565文字(全文2082文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集