「まさかこんな所に…」 上野の地下に眠る「品位ある」駅

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どことなく気品を感じさせる旧博物館動物園駅の駅舎。2018年に「東京都選定歴史的建造物」となった=東京都台東区で2022年11月14日、倉岡一樹撮影
どことなく気品を感じさせる旧博物館動物園駅の駅舎。2018年に「東京都選定歴史的建造物」となった=東京都台東区で2022年11月14日、倉岡一樹撮影

 桜の名所として名高い上野公園(東京都台東区)の地下に、廃虚と化した駅がある。京成電鉄(千葉県市川市)の旧「博物館動物園駅」だ。東京国立博物館と上野動物園の最寄り駅だったが、利用客の減少などから1997年に休止、2004年に廃止された。その中に許可を得て立ち入ると、営業しなくなって25年が経過した今もなお、ほぼ在りし日の姿のままの駅が眠っていた。【倉岡一樹】

戦前、日暮里―上野公園駅間に開業

 上野駅から10分ほど歩き、東京国立博物館を越えた先に国会議事堂を小さくしたような建物が見えた。「博物館動物園駅」の跡である。「建物上部のレリーフは、向かい合う黒田記念館のレリーフと同じなんですよ」。京成上野駅の保科一彦駅長(56)がそんな話をしながら、固く閉ざされた扉を開けてくれた。

 その内部もひときわ豪華だった。植物文様があしらわれたドーム型の屋根を見上げると、穴が複数開いている。そこにはかつてシャンデリアがつり下げられていたという。保科駅長が説明する。

 「第二次世界大戦中、不足した鉄を補うため取り外され、供出されたそうです」。しゃれた駅舎には悲哀に満ちた戦争の歴史も刻み込まれていた。

 この駅は1933年、京成電鉄が日暮里から上野公園(現京成上野)へ路線を延伸したことに伴って、両駅の間に開業した。上野公園は地上走行が許されず、皇室用地内の地下に駅を造る必要に迫られた。駅舎建設の可否は御前会議で検討され、「品位に欠けてはならない」と命じられ、設計は京成電鉄が当時の鉄道省に依頼したという。

 ガラス戸を開けて階段を降りると、中程の踊り場のような所に窓口が三つあり、板で塞がれていた。開業当時の切符売り場で、中に駅員が入って手売りしていたそうだ。さらに階段を降り、行き着いた先に置かれていた巨大なオブジェに面食らった。

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