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「弱い者が歩く人生の美しさ」藤山扇治郎さんが語る松竹新喜劇の深み

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「お祭り提灯」で丁稚三太郎を演じる藤山扇治郎さん=2019年1月南座の公演より(松竹提供)
「お祭り提灯」で丁稚三太郎を演じる藤山扇治郎さん=2019年1月南座の公演より(松竹提供)

 「昭和の喜劇王」の孫。同じ道を選び、芸を比べられることが宿命づけられながら、藤山扇治郎(せんじろう)さん(35)は正面から「目指す役者は、祖父の藤山寛美(かんび)です」と言い切る。大阪を拠点とする松竹新喜劇に入団し、この秋で10年目に入った。寛美を山の頂に仰ぐならば、今の自分は「家出て、つえもまだ買(こ)うてないぐらいですわ」。ますます上方人情喜劇という芸能の奥深さをかみしめている。

笑いだけじゃない魅力

 「もともと松竹新喜劇に関心は薄かった」と言う。

 3歳の時に亡くした祖父の記憶はない。父は小唄の家元。幼少期から日本舞踊や小唄をたしなみ、歌舞伎をよく見に行った。

 子役として高校1年まで舞台に立ち、俳優を志して大学を卒業後に選んだのは東京の青年座研究所。「演劇は東京。関西は田舎やと思てたんでしょうね」。

 だが初めての1人暮らしで松竹新喜劇のDVDを見るようになり、気持ちが変わった。「笑いだけじゃない、悲しみや切なさという情がこめられた芝居に心からすごいなと思いました」。劇団の創立65周年に合わせ、2013年11月に入団した。

 「お祭り提灯(ちょうちん)」のアホの丁稚(でっち)三太郎、「夜明けのスモッグ」の心優しいスモッグ、「人生双六(すごろく)」の不器用で生真面目な宇田信吉--。次々に寛美の当たり役を演じてきた。

 旧作に臨む時、過去の映像は当然見る。だが「祖父はすごすぎて、いざ自分もやろうと思っても、なかなか(マネ)できへんのです」と語る。

 例えば「人生双六」の宇田。…

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