ブラジル・ルラ次期政権の貧困対策 「バラマキ」で財政悪化の懸念

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次期政権の貧困対策について話すルラ次期大統領=ブラジリアで2022年11月10日、AP
次期政権の貧困対策について話すルラ次期大統領=ブラジリアで2022年11月10日、AP

 南米ブラジルで、左派のルラ次期政権が計画する現金給付を中心とした貧困対策が論争の的になっている。憲法で国家予算の歳出規模には上限が設けられているが、関連予算を対象から外すよう求めているためだ。右派のボルソナロ現政権も貧困対策などを手厚くしたが、次期政権による支出はさらに増える見通しで、市場はこうした「バラマキ」による財政の悪化を懸念する。

 「新政権は最も困窮している人々(への支援)を優先する。財政規律同様、社会問題も真剣に議論すべきだ」。地元メディアによると、ルラ氏は11月中旬、首都ブラジリアでの演説で連邦議員らに対し、10月の大統領選でも公約した貧困対策の実現に協力を求めた。

 来年1月1日に始動するルラ次期政権は、1年間で貧困対策に1980億レアル(約5兆880億円)を投じる方針で、総額の9割弱を現金給付が占める。

 しかし、実現にはテメル政権(当時)が2016年に憲法改正で導入した歳出規定が障害となる。過去の放漫財政への反省から、政府に歳出の伸び率を前年のインフレ率を下回る水準に抑えるよう求めたこの規定は「歳出上限」と呼ばれる。ルラ次期政権は、貧困対策が歳出上限に抵触するのを避けるため、関連予算を対象外にする憲法修正案の連邦議会での承認を目指している。

 歳出上限は、再選を狙ったボルソナロ氏の下でもたびたび破られてきた。22年7月には、貧困層向けの現金給付策「アウシリオ・ブラジル(ブラジル救済)」の支給額を400レアル(約1万290円)から600レアルに増やすなどの目的で、同様の憲法修正案を議会に提案。上院の付属機関の独立国庫監査院によると、ボルソナロ政権時代に総額2365億レアルの予算が歳出上限の対象から外れた。財政悪化が不安視されたものの、下院でボルソナロ氏を支持する勢力が多数派を占めていたことなどから、承認されてきた。

 しかし、ルラ次期政…

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