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世界人口が80億人を超えた。土地や資源が限られる中、国際社会は貧困や紛争が拡大しないよう努めなければならない。
10億人になったのは19世紀初めだった。産業革命を経て20世紀に入ると急増し、2010年に70億人に達した。それからわずか12年である。
背景には、公衆衛生の向上や医療の進歩で、妊婦や乳幼児の死亡率が低下し、平均寿命が延びたことがある。さらに品種改良などで農作物の生産量が増え、行き渡るようになった。
国連人口基金(UNFPA)のカネム事務局長は、長寿化の実現について「人類の到達点だ」と述べる一方、社会的、経済的に弱い立場の人々を支援する必要性を強調した。
世界では今、約8億2800万人が飢餓に直面している。
今後、人口はナイジェリア、コンゴ民主共和国、タンザニアなどサハラ以南アフリカの最貧地域で増加し、貧困や飢餓が拡大すると懸念されている。
食料や水、エネルギー資源などを巡って、国際紛争が激化する可能性も指摘されている。
資源の消費が増えて気候危機に拍車がかかり、さらに災害が発生する悪循環に陥るリスクもある。
国連を中心とした国際機関や地域機構、NGOが協力して課題に取り組むことが不可欠だ。
貧困地域で女性の教育や就業の機会が広がり、社会進出が進めば、人口増加スピードを緩やかにできるとされている。
先進国は途上国に対する開発支援を一層強化すべきだ。生活水準が向上すれば、飢餓人口を減らす効果も期待できる。
国際機関は水や食料などが必要とする人に届くよう目配りし、紛争回避につなげる必要もある。
「持てる国と持たざる国の間に大きな溝がある。埋めない限り、緊張や不信、危機、衝突の世界を迎えるだろう」。国連のグテレス事務総長の警告である。
2080年代に104億人でピークを迎えるまで約60年間、世界人口の増加が続く。
問われているのは持続可能な社会を実現できるかどうかだ。国際社会が結束し、人類の進歩を幸福につなげなければならない。