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上海や北京など中国各地で中国政府の「ゼロコロナ」政策に反発するデモが起きました。「白紙運動」「白紙革命」と名付けられたこの動きは海外にも波及し、米ニューヨークでも抗議集会が開かれました。参加したのは主に若い留学生たちでした。米国に暮らす中国人の若者の目には祖国の動きはどう映ったのでしょうか。【ニューヨーク隅俊之】
11月28日夜、集まっても数十人かなと思いながら、ニューヨークの名門・コロンビア大の門をくぐった。予想は外れた。キャンパスの中心に建つロウ記念図書館の前には少なくとも数百人が集まり、表現の自由を求める象徴となった白い紙を掲げ、中国語で叫んでいた。「習近平(国家主席)は退陣しろ。共産党は退陣しろ」と。ほとんどが20代とみられる若者だった。
中国各地で広がった中国政府のゼロコロナ政策に反発するデモや抗議行動は、新疆ウイグル自治区ウルムチで起きたマンション火災による犠牲者の追悼がきっかけになった。厳格なコロナ対策が消防活動の遅れを招いたとされ、ネット上には炎が上がるマンションから「ドアを開けて。助けて」と叫ぶ声が響く動画が流れた。
米国に暮らす中国人留学生は恵まれたエリート層だ。彼らは日々、米国の民主主義を目撃している。前大統領が選挙の結果を否定し、それを信じる人たちが議事堂を襲撃するという“醜態”も含めてだが。ただ、人々が自分の意見を表明し合うことが当然の社会に暮らせば、自然と声を上げるのさえ難しい祖国の実情と比較する。
北京から4年前にニューヨークに来た20代の留学生の女性は、黒人差別に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が全米で広がったことにショックを受けたという。
「あの時、声を上げていたのは自分と同じ若者ばかりだった。中国では習近平がトップになって以降、特に近年は言論の自由がどんどん失われていったから、外に出てアメリカを実際に見て、この違いは何だろうという思いがあった。だから、自分の中にある答えのない感情のようなものを表現したかった」
彼女は2000年代生まれの「00後」と呼ばれる世代だ。都市部では既に豊かになった中国で生まれ育ち、ナショナリズムも強いとされる。それなのになぜ習近平は退陣しろと?
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