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フィギュアスケート男子でオリンピック2連覇を遂げ、7月にプロ転向した羽生結弦さん(27)の単独アイスショー「プロローグ」の最終公演が5日、青森県八戸市のフラット八戸で開かれた。横浜市で2公演、八戸市で3公演を重ねたプロローグの「千秋楽」。羽生さんは「何よりも大きなけがなく、最後まで完走できたことは大きな経験になった」と振り返った。
「ただ今より6分間練習を始めます」。たった一人のリンクで、本番さながらの直前調整をこなす。そして6分後。「1番、羽生結弦さん」。そうコールされて飛び出したリンクは、試合とほとんど同じ明るさに照らされていた。
最初の演目は「SEIMEI」。2018年平昌冬季五輪で金メダルを獲得したフリーのプログラムだ。4回転サルコウや4回転トーループを奇麗に着氷し、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も鮮やかだった。
羽生さんが自身のけがを心配した理由が理解できた。そう、アイスショーであってアイスショーではない。競技会のような「アスリートショー」なのだ。
ジュニア時代のエキシビションナンバー「CHANGE」をロックに演じ、自らマイクを握っての氷上トークショーに移った。続くナンバーは、客席や自身の公式ユーチューブからのリクエストから選ぶ演出だった。ここで、千秋楽・八戸の地に込めた羽生さんの思いを知ることになる。
会場からの多数決で選ばれたのは19年などのショートプログラム(SP)で演じた「Otonal(オトナル)」。だが、羽生さんは「個人的には悲愴(ひそう)をやりたい」と切り出し、演目に加えた。
「悲愴」は、羽生さんが東日本大震災で被災した11年につくられたプログラムだ。練習拠点にしていたアイスリンク仙台が利用できなくなり、全国各地のリンクを転々としていた時、八戸市のテクノルアイスパーク八戸が手を差し伸べてくれた。「節電のため電気も十分ではなかったが、換気用に開けた天井の窓から差す日の光だけで滑った」。決して忘れない感謝と震災への鎮魂の思いを込め、情感豊かに悲愴を舞った。
2時間にわたり、約3000人の観客を魅了した演目は他に「シング・シング・シング」「ロミオ+ジュリエット」「いつか終わる夢」「春よ、来い」「パリの散歩道」「ロシアより愛を込めて」の計10曲を数えた。競技者生活の終盤は「多くの歓声や視線を浴びながら、滑ることってあとどれくらいあるんだろう」と思った。だが、プロ初のアイスショー5公演を終え、確かな手応えをつかんだ。
「多くの方々に見ていただき、本当にスケーター冥利に尽きるというか、スケートをやっていてよかったなって思える瞬間がたくさんあった」
最後にサプライズを準備していた。23年2月26日、東京ドームで新たな公演「GIFT」を開催することを場内の特別映像で発表した。羽生さんからの贈り物は、いつも人々の胸を熱くする。【芳賀竜也】
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