出遅れた日本「瀬戸際にいる」 大型の洋上風力発電が始動、勝機は

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秋田港に並ぶ洋上風車=秋田市で2022年11月28日午後2時46分、猪森万里夏撮影
秋田港に並ぶ洋上風車=秋田市で2022年11月28日午後2時46分、猪森万里夏撮影

 国内初となる大型の洋上風力発電所が、年内にも秋田県の秋田港と能代港で商業運転を始める。国内のこれまでの洋上風力導入量はごくわずかだが、政府は再生可能エネルギー主力電源化への「切り札」と位置付け、2040年までに3000万~4500万キロワット(原発30~45基分)に拡大する方針だ。新たな産業や雇用の創出に期待がかかるものの、市場では先行する欧州や中国の存在感が大きく、漁業者への配慮も欠かせない。勝機はあるのか。【猪森万里夏、平家勇大、江沢雄志、小川祐希】

「油田の発見に等しい」

 「一つ数千億円の事業がこんなに計画されるのは、新たな油田が見つかったに等しい」。11月上旬、秋田市で開かれた「世界洋上風力サミット」。29カ国の企業や政府関係者ら700人超が訪れた会場で、欧州の大手電力会社の担当者は高揚した様子で語った。

 熱視線の先には、秋田県を皮切りに日本各地へと広がる商機がある。今回、運転を始める秋田・能代両港のプロジェクトは、計33基(14万キロワット)の風車など発電施設の総事業費が1000億円に上る巨額案件だが、秋田県沖では他にも4海域で事業が計画されている。このうち2海域と千葉県銚子市沖の計3海域(170万キロワット)は既に事業者が決定。秋田県沖の残り2海域についても、長崎県、新潟県の海域とともに近く公募が始まる予定だ。青森県、山形県の沿岸海域でも事業化が有望視されている。

 国内企業にもチャンスだ。洋上風力は発電機などの基幹設備だけで1万~2万点と自動車並みの部品が使われる。基礎工事や輸送、施工、運転・保守など産業の裾野が広く、参入できれば経済効果は大きい。

 「今後の成長に洋上風力は外せない」。11月、秋田県の鉄鋼会社、東光鉄工(大館市)の伊藤均副社長は表情を引き締めた。秋田・能代両港で約630トンの部品を保管する際に使われる金属製の土台を受注した。風車を点検する無人航空機(ドローン)も開発中だという。同じ頃、秋田市では28年に秋田県沖で運転を始める米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の風車に関する説明会が開かれ、風車の部品などの受注を狙う県内企業30社超が熱心に聴き入っていた。

 雇用面の期待も大きい。経済産業省によると、洋上風力“先進国”デンマークのエスビアウ市では関連企業の誘致に成功し、約8000人の雇用が生まれた。研究開発や製造の拠点があるドイツでは関連雇用が2万人以上に及ぶという。

足りない人材、どう確保するか

 ただ、洋上風力の運転実績が乏しい日本では、必要な人材が足りない。秋…

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