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高額献金取り戻せる? イチからわかる旧統一教会救済新法

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旧統一教会を巡る被害者救済法の政府案について記者会見する全国霊感商法対策弁護士連絡会の(左から)阿部克臣弁護士、紀藤正樹弁護士ら=東京都千代田区で2022年11月21日午後0時40分、内藤絵美撮影
旧統一教会を巡る被害者救済法の政府案について記者会見する全国霊感商法対策弁護士連絡会の(左から)阿部克臣弁護士、紀藤正樹弁護士ら=東京都千代田区で2022年11月21日午後0時40分、内藤絵美撮影

 長年にわたって、何千万円、何億円と宗教団体に寄付したお金を取り戻せるようになるのはどんなケースなのか。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、被害者救済に向けた法案が今国会に提出され、成立後は条件を満たせば寄付を取り消せるようになる。今まで泣き寝入りしていたケースでも、裁判などを通じて取り戻せるかもしれない。消費者行政に詳しい国民生活センター前理事長の松本恒雄・一橋大名誉教授による監修の下、法案のポイントを解説する。【藤沢美由紀】

 国会に提出された法案では、「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律案」と消費者契約法改正案など。個人から法人や団体、その幹部らへの寄付を規制の対象とする。

 六つの不当な勧誘行為により「困惑して」寄付した場合、寄付を取り消せるようになった。具体的には、寄付を勧誘する際に霊感の知見を使って不安をあおり、本人や家族の不利益を回避するには寄付が必要不可欠であると告げることなどだ。

困惑させられた立証は簡単?

 まずハードルとなるのが「困惑させられた」ことをどう立証するかだ。松本氏は「勧誘された際の録音でもあれば有効な証拠になる。ない場合でも、勧誘を受けたいきさつなどを陳述書としてまとめて提出することになる。その内容を裁判官が判断する」と解説する。

 一般的に寄付した人はその時点で、宗教団体の教義などに納得しているとみられる。信者を親に持つ子ども「宗教2世」は、法案にある「不安をあおる」「不利益を回避するには寄付が必要不可欠と告げる」といった要件が、実態に合っていないと指摘する。この「困惑」要件を満たせず、救済されないケースも出てくるかもしれない。

自ら進んで寄付したらどうなる?

 では、「献金したら家族が幸せになる」などと告げられ、被害者自ら進んで寄付したようなケースは取り消しの対象にならないのか。松本氏は「仮に寄付の素晴らしさだけを告げている場合は、『困惑』には当てはまらない」と指摘する。ただ、「寄付しなかったらどうなるかを言外にでも伝えていたら、不安に陥れられたと判断できる可能性はある。『寄付すれば家族が幸せになる』と『寄付しなければ家族が不幸になる』は表裏一体。裁判で弁護士の腕が問われるところだ」と解説する。やはり、寄付する際にどういった状況だったのかを細かく記録しておくことは重要になりそうだ。

念書にビデオ撮影……それでもOK?

 宗教団体に寄付した信者の中には、「献金は私の自由意思によるもの」などと念書を書かされたケースがある。11月29日の衆院予算委員会で、立憲民主党の山井和則氏は同様の事例を紹介しながら、寄付者が宗教団体側に念書を提出したり、その様子や発言をビデオ撮影されたりした場合でも被害救済ができるのかを質問した。これに対し、岸田文雄首相は「個人が困惑した状態で取り消し権を行使しないという意思表示を行ったとしても、そのような意思表示の効力は生じないと考えられる」と念書などの「効力」を否定した。

 さらに、「念書を作成させ、ビデオ撮影すること自体が法人等の勧誘の違法性を基礎づける要素の一つとなり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められやすくなる可能性がある」との考えを示した。

 首相の言葉は有効な救済策のように聞こえるが、松本氏は「なかなか一般論として言い切るのは難しいところがある」と疑問を投げかける。寄付をした時に「…

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