山は博物館

宮沢賢治 北海道駒ケ岳に追い求めた 亡き妹の魂

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宮沢賢治が妹トシの魂を感じた駒ケ岳=北海道森町で2012年5月27日午後5時5分、去石信一撮影
宮沢賢治が妹トシの魂を感じた駒ケ岳=北海道森町で2012年5月27日午後5時5分、去石信一撮影

 詩人で童話作家の宮沢賢治(1896~1933年)は26歳の1923年夏、故郷の岩手・花巻から、当時日本領の南樺太(現ロシア・サハリン南部)へ13日間の列車旅行に出た。帰途の12日目、北海道の渡島(おしま)半島を南下する車中で、左に駒ケ岳(1131メートル)を見た。詩集「春と修羅」に収めた「噴火湾(ノクターン)」で<駒ケ岳駒ケ岳/暗い金属の雲をかぶつて立つてゐる/そのまつくらな雲のなかに/とし子がかくされてゐるかもしれない>と記す。

 それは前年冬、結核で亡くした妹トシの魂を北国の景色に追い求める旅だった。

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