- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

詩人で童話作家の宮沢賢治(1896~1933年)は26歳の1923年夏、故郷の岩手・花巻から、当時日本領の南樺太(現ロシア・サハリン南部)へ13日間の列車旅行に出た。帰途の12日目、北海道の渡島(おしま)半島を南下する車中で、左に駒ケ岳(1131メートル)を見た。詩集「春と修羅」に収めた「噴火湾(ノクターン)」で<駒ケ岳駒ケ岳/暗い金属の雲をかぶつて立つてゐる/そのまつくらな雲のなかに/とし子がかくされてゐるかもしれない>と記す。
それは前年冬、結核で亡くした妹トシの魂を北国の景色に追い求める旅だった。
この記事は有料記事です。
残り2208文字(全文2463文字)