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早くも師走ですね。「14色のペン」の私の担当回も年内、残り2回となりました。2022年の締めくくりに向け、今回、次回と連続で、日本の財政についてまじめに考えてみたいと思います。【経済部・赤間清広】
まずは12月3日付の毎日新聞朝刊に掲載された記事を読んでみてほしい。
「政府の総合経済対策の裏付けとなる2022年度第2次補正予算は2日、参院本会議で自民、公明、国民民主などの賛成多数で可決・成立した。一般会計の歳出総額は28兆9222億円。財源の約8割は22兆8520億円の国債を発行して賄う」
この記事を見て驚かなかった人は、日本の財政の肥大化について、知らず知らずに「まひ」してしまっていると言えるだろう。
新型コロナウイルスの感染拡大がはじまるまで、補正予算の規模はせいぜい数兆円程度だった。
しかし、「コロナ対策」を名目に数十兆円規模の「大型補正」を連発した結果、政府・永田町の「たが」は完全に外れてしまったように見える。
今回の補正分を含めると、22年度の政府の歳出規模は139兆円に膨らんだ。これに対し、税収は68兆円程度しかない。
どうしようもない歳出超過。しかし、政府・与党に焦りの色は感じられない。
財源が足りなければ、国の借金に当たる「赤字国債」を乱発すればいい――。そんな無責任な空気が充満している。
日本が戦後、初めて赤字国債を発行したのは1975年だった。
時の蔵相(現・財務相)は後に首相となる大平正芳。前年の石油ショックによる税収減で政府は歳出超過に陥り、赤字国債発行以外に手がなくなった。
「赤字国債発行は万死に値する」。クリスチャンの大平は日本に借金を背負わせたことを自身の十字架とし、周囲に「一生をかけて償う」と語ったという。
それから半世紀。大平が背負った十字架は今や完全に忘れ去られてしまったようだ。
まるで財源が無限にあるかのように、政府・与党からは派手な歳出拡大論ばかりが飛び出す。
その最たるものは、防衛費の増額だろう。岸田文雄首相は23~27年度の5年間の防衛費を現行の約1・5倍となる43兆円に増額すると宣言してみせた。
政府は年末までに安定財源を示すとしているが、財源候補は年度内に使い切れなかった決算剰余金や、国有財産の売却など弥縫(びほう)策のオンパレードだ。
本来であれば借金の返済に充てなければならないものも多い。財源論が見切り発射のまま、防衛費増額だけが先行して固まったというのが実情だろう。
日本の財政は先進国で最悪の水準にある。政府も口では財政再建の重要性を叫びはするが、国民の負担増につながる議論には終始、及び腰だ。
果たして、このままで日本は大丈夫なのか。財政学が専門の佐藤主光・一橋大教授を訪ねた。
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