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新チームも強い! 史上初、神宮連覇 大阪桐蔭の未来は明るいか

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史上初の明治神宮野球大会連覇を果たし、喜ぶ大阪桐蔭の選手たち=神宮球場で2022年11月24日、吉田航太撮影 拡大
史上初の明治神宮野球大会連覇を果たし、喜ぶ大阪桐蔭の選手たち=神宮球場で2022年11月24日、吉田航太撮影

 高校球界の「横綱」がまたも球史を塗り替えた。11月に開催された第53回明治神宮野球大会で、大阪桐蔭(近畿・大阪)が史上初の大会連覇。毎年のように、全国の球児、高校野球ファンから熱い視線を向けられる大阪桐蔭の新チームがいかに戦ったか、振り返る。

 センバツも制して「秋春連覇」した前チームからメンバー入りしていたのは、当時からエース格の最速148キロ左腕・前田悠伍投手(2年)と村本勇海二塁手(同)の2人のみ。先代に比べれば盤石とは言いがたいだろう。

 実際に神宮では全4試合中2試合で逆転勝ち。苦しんだ要因は大黒柱である前田投手の不調だ。3試合に登板し21イニングで計13四死球。夏の甲子園覇者・仙台育英(東北・宮城)とぶつかった準決勝に至っては自己ワーストの10四死球。それでも、自己最多161球で4失点完投した。

明治神宮野球大会で、広陵との決勝で力投する大阪桐蔭の前田=神宮球場で2022年11月24日、吉田航太撮影 拡大
明治神宮野球大会で、広陵との決勝で力投する大阪桐蔭の前田=神宮球場で2022年11月24日、吉田航太撮影

 この一戦にこそ前田投手の非凡さが表れた。序盤は体が前に突っ込み、ボールが浮いたが、終盤はしっかり修正。球数が130を超えた八回は140キロ超の直球にキレが戻り、1死から連続三振を奪った。

 先発ではなかった広陵(中国・広島)との決勝では試合途中に自らブルペンに向かいアピール。1点を勝ち越した直後の六回から救援し、ゼロに抑えた。

 大阪桐蔭のエースの重圧は尋常ではないが主将も務める。西谷浩一監督は「チームを背負い、引っ張っていってほしいから」と狙いを語っていたが、その言葉通りの気迫だった。

 仙台育英戦以外は継投策。最速145キロを誇る南恒誠投手(2年)、南陽人投手(1年)、松井弘樹投手(2年)ら前田投手を含めて5投手でつないだ。登板はなかったが、二刀流右腕・境亮陽投手(1年)も含めて今大会のベンチ入りメンバーでは140キロ超が5人。前田投手頼りではない。

 打線はやや小粒だがその分、激しい定位置争いで切磋琢磨(せっさたくま)している。最たるものが三塁。両親がスリランカ人のラマル・ギービン・ラタナヤケ選手(1年)と岸本真生選手(2年)の2人がしのぎを削る。

 ラマル選手はパワフルな打撃が持ち味。近畿大会の準々決勝・彦根総合(滋賀)戦は「4番・三塁」で先発し3安打。岸本選手も負けじと、神宮大会の初戦で勝ち越しの適時三塁打を放った。試合後には、西谷監督に「自分が(今後も試合に)出ます」と力強く宣言した。1年生ながら3番で右翼の徳丸快晴選手も近畿大会では不調だったが、神宮では打率5割と復調。打線につながりがあり、接戦を制するしぶとさがあった。

 決勝後、西谷監督は「未熟なところが出たが勝ち切れたのは大きい」と強調した。先輩が果たせなかった「秋春夏」連覇というさらなる偉業に向け、実りの大きな秋だった。【大東祐紀】

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