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奇跡の傍らで

出産のリアルを描いた人気漫画「コウノドリ」のモデル、荻田和秀医師が命が誕生する現場からの思いをつづります。

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出産費用「持ち出し」平均5万円 少子化進行に歯止めを=荻田和秀・りんくう総合医療センター産科医

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妊娠判明は喜ばしいが、同時に出産費用という現実も立ちはだかる マンガ「コウノドリ」Ⓒ鈴ノ木ユウ/講談社
妊娠判明は喜ばしいが、同時に出産費用という現実も立ちはだかる マンガ「コウノドリ」Ⓒ鈴ノ木ユウ/講談社

 今年も残すところあとわずか。コロナ禍も落ち着かず、ロシアのウクライナ侵攻や急速な円安の影響などによる物価高もあり、寒さがこたえる年末です。そんな中、衝撃的なニュースが報じられました。今年の出生数が80万人を割る予測だというのです。出生数が100万人を下回ったのが2016年ですから、極めて速いスピードで出生数が減少しています。原因はいろいろ分析されていますが、注目すべきは分娩(ぶんべん)や育児に費用がかかりすぎるため、産み控えが起きているのではないかという指摘です。では実際に分娩費用はどれくらいかかるのでしょうか。

 厚生労働省の調べでは、正常分娩の出産費用は全国平均で47万3000円(21年度)です。そのうち公的病院の平均は約45万5000円、民間病院は約50万円です。これに対し、国は出産育児一時金として原則42万円が支払われる制度を導入しています。つまり正常分娩だと全国平均で5万円以上の持ち出しになります。僕たちお産をサポートする側としては、施設を整え、十分な医療スタッフを確保し、不測の事態に備えるために…

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