農産品にこそデザインを 独自性PRで生産意欲、売り上げアップ

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品質をアピールするシールを袋に貼ったキュウリ=和歌山県美浜町の中谷農園で2022年11月15日午後1時2分、大塚愛恵撮影
品質をアピールするシールを袋に貼ったキュウリ=和歌山県美浜町の中谷農園で2022年11月15日午後1時2分、大塚愛恵撮影

 デザインで農産品を売る――。和歌山県の経済浮揚の鍵を握るとされる1次産業にも、そんな発想が広まりつつある。「いいものをつくる」だけでなく、袋に貼るシールや段ボールなどパッケージで独自性をアピールする重要性を説くのは、全国的にも珍しい農業分野のデザインに特化する和歌山市の会社だ。

 和歌山県美浜町でキュウリを主力にキャベツ、ブロッコリーなど10品目ほどの野菜を生産する中谷農園の園主、中谷宗幹さん(48)は、「まっすぐ一筋」のキャッチコピーなどを記したシールを全出荷商品に貼っている。「年中、農業のことしか考えていない」という宗幹さんの姿を見た妻紫さん(42)の一言をヒントにした。

 宗幹さんがデザインの重要性を意識するようになったのは「周囲と差別化しないと、商品を手にとってもらえない」との意識から。シールを貼り始めて5年以上がたつが、近年は年間約15万袋を売り上げる。「シールを目印に買ってくれるケースが増え、売れ残りや廃棄が少なくなった」と実感し、「『まっすぐ一筋』の名に恥じないようにとのプライドも高まった」と、生産意欲の向上にもつながっている。

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