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頻発する異常気象、損保業界を直撃「保険料値上げ避けられない」

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ここ数年、台風や豪雨被害が相次いだことで保険金の支払いが急増している=大分県九重町で2020年7月7日午後、辻本知大撮影
ここ数年、台風や豪雨被害が相次いだことで保険金の支払いが急増している=大分県九重町で2020年7月7日午後、辻本知大撮影

 深刻化する気候変動が損害保険業界を揺るがしている。台風や豪雨被害が頻発していることで保険金の支払いが急増。赤字が常態化したことで各社とも火災保険の値上げを加速させている。身近な存在だった火災保険が高額な「ぜいたく品」になってしまうのか。

奮闘する保険会社

 「気が休まらない日々が日常になってしまった」。東京都内の三井住友海上火災保険本社。損害サポート業務部の業務チーム課長、江碕博之さんはこう話す。頻発する災害を受け、「被害に遭ったお客様に迅速に保険金を届けるため、災害の連続発生も想定して準備している」と語気を強める。

 同社には、災害対応を支援するバックアップオフィスがある。派遣スタッフを中心に100~200人近くが勤務。以前は、保険金の請求が増える秋ごろに開設し、年末に解散する期間限定の部署だった。だが、ここ3年は常設に。派遣労働者は同じ職場に3年を超えていられないルールがあるため、人員確保もままならない状況だ。

 火災保険は火災や自然災害などで被害を受けた建物の修理費を補償するサービス。火災だけでなく、台風や豪雨、洪水などに伴う水災の補償を保険対象に含めることもできる。災害が発生すると、保険会社は臨戦態勢に入る。

 台風の上陸が近づいた場合、まず気象庁などからの情報やニュースを逐次確認するとともに被害地域の保険契約状況を調べ、どのぐらいの保険金請求があるかを予測。被災地に社外の鑑定人や調査会社の社員を送り込む。手が足りない場合は、自社の社員も派遣して立ち会い調査にあたる。移動や報告書の作成時間なども含めれば、1人につき1日3件を調査するのが限度だという。

 2018年の台風21号では近畿地方だけで被害の申し出が30万件以上に上り、支払いに1カ月以上かかるケースもあった。「従来の手法では対応しき…

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