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「グリーン・ジーザス」の試練

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国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の開幕に先立ち、記者会見するカナダのギルボー環境・気候変動相(右)ら=モントリオールで2022年12月6日、AP
国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の開幕に先立ち、記者会見するカナダのギルボー環境・気候変動相(右)ら=モントリオールで2022年12月6日、AP

 COPと聞くと、地球温暖化について話し合う会議を思い浮かべる方も多いでしょう。COPとは締約国会議(Conference of the Parties)の略。すなわち条約を結んだ国々による会議を指し、さまざまなCOPが存在しています。温暖化ほど注目されない、もう一つの重要なCOPがカナダで始まりました。【外信部・八田浩輔】

 カナダのスティーブン・ギルボー環境・気候変動相は、迷惑行為などで4度の逮捕歴がある環境活動家だ。3年前に政界に進出し、閣僚になった52歳の今も「アクティビスト」を自認する。環境への配慮から車は所有しない。その理想主義的な言動に、かつて地元メディアに「グリーン・ジーザス」(緑のイエス)と呼ばれたこともある。

 2001年夏の事件は語り草だ。環境NGOのグリーンピースに所属していたギルボー氏は、最大都市トロントにある当時世界で最も高い構造物だったCNタワーによじ登り、地上340メートルにある展望台の真下にたどり着くと、「カナダとブッシュ 気候殺人者たち」と大書した垂れ幕を掲げた。この年に発足した米国のブッシュ(子)政権は、先進国に温室効果ガスの排出削減を初めて課した京都議定書への不支持を表明していた。カナダも経済界を中心に強硬な反対論があり、1997年に採択された議定書の発効が危ぶまれた時期だった。

 それからギルボー氏は国の環境政策や新しい規制に意見を反映させるNGOのロビイストをしばらく続けた後、2019年の総選挙でトルドー首相率いる中道左派の自由党から初出馬。21年に環境・気候変動相に指名された。

 今月、米ニューヨーク・タイムズの音声番組に出演した際にこんな逸話を明かしている。

 英国で昨年開かれた温暖化問題を話し合うCOP26の首脳級会合での出来事だった。…

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【気候変動】

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