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「やっかいもの」の風が資源に 再生エネは地域を潤すか

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草地や林に点在する発電用風車=青森県横浜町で2022年8月8日午後5時29分、五十嵐和大撮影
草地や林に点在する発電用風車=青森県横浜町で2022年8月8日午後5時29分、五十嵐和大撮影

 青森県・下北半島の付け根、陸奥湾に面した横浜町の国道を車で走ると、直径約50メートルの巨大な風車が建ち並び、ゆっくりと回っていた。

 横浜町は人口約4300人。日本有数の面積を誇る菜の花畑、ホタテやナマコなどの海産物で知られる。しかし、夏に東から吹く季節風「やませ」は、この地域にたびたび冷害をもたらした。冬場には強い西風が地吹雪を巻き起こして車が立ち往生するなど、住民は1年を通じて風に悩まされる。

 「冷たいやませのおかげで夏場は霧が出やすく、いい米は作れない。だから町にはなかなか人が居着かねえんだよ」。農業の傍ら町議を務める沖津正博さん(60)はそう語る。町の予測では、2040年には人口は約3000人にまで減る。

 そんな町に転機が訪れたのは12年。前年の東京電力福島第1原発事故を受け、政府は太陽光や風力などで発電した電気を比較的高値で買い取る固定価格買い取り制度(FIT)を始め、再生可能エネルギーの普及に乗り出した。住民を苦しめる「やっかいもの」の風が資源になるかもしれない。沖津さんも「過疎の町にと…

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