二つの戦争に翻弄された被爆孤児 齢87、広島で探す大切なもの
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9歳の時に広島で被爆し孤児となり、その後渡った朝鮮半島で朝鮮戦争に見舞われた。二つの戦争に翻弄(ほんろう)され、過酷な運命をたどった男性が大阪府門真市で暮らしている。齢(よわい)87。大病を乗り越えて11月、ある思いを胸に古里・広島に向かった。
77年を経ても思い出すグライダー
1945年8月6日午前8時過ぎ。当時小学4年生だった友田典弘(ともだつねひろ)さんは、爆心地から約460メートルの袋町国民学校(現袋町小)=広島市中区=の校舎前で「(朝礼に)なぜ遅れた?」と上級生に手を引っ張られた。「うるさい」と手を振りほどいて、げた箱のある地下室で靴を脱ごうとしていた時に被爆。「ボカーンと音がして、この廊下にある柱に体をぶつけて気を失ったんです」。袋町小を訪れた友田さんはこう振り返る。
校庭に出ると、朝礼で並んでいた約150人の子どもたちや先生が黒焦げになって死んでいた。そばに「トモダ」と名前が書かれた運動靴が転がっていた。一つ下の弟のものだった。「あの時、上級生の手を振り払っていなかったら、死んでたね」。自宅で被爆したとみられる母はいまだに見つかっていない。
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