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フィールドの向こうに

フィールドで輝きを放つ者もいれば、涙を流す者もいる。その向こうにある光景を見つめたい。

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「不都合な真実」=田原和宏

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国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)のイベントで演説するスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん=スペイン・マドリードで2019年12月11日、鈴木理之撮影
国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)のイベントで演説するスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん=スペイン・マドリードで2019年12月11日、鈴木理之撮影

 彼女ならきっとこう言うに違いない。「How dare you!(よくもそんなことを)」。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(19)が2019年9月、国連気候行動サミットで各国首脳らを前に、見せかけの温暖化対策を厳しく批判したせりふだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、札幌市が招致を目指す30年冬季オリンピックの開催地決定の時期を先送りすると発表した。延期の理由に挙げたのが気候変動への対応だった。安定的な大会運営のため、冬季五輪の持ち回りでの開催も検討するという。

 ただ、温暖化によって開催可能な都市が減少することは以前から指摘されてきた。延期の狙いが東京五輪を巡る汚職事件で逆風にさらされる札幌への配慮なのは明らかだ。巨額の開催費を負担できる都市は少なく、IOCは札幌を手放せない。IOCの動向を知る招致関係者は「沈静化を求めるメッセージだが、そう説明するわけにもいかない。大義名分で気候変動を持ち出した」と受け止める。

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