特集

安全保障

日本周辺の安全保障環境が厳しさを増しています。政治や経済、外交など、日本の針路を考えます。

特集一覧

安保大転換、「足して2で割る」に終始した首相 政治部長・中田卓二

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
臨時閣議後、記者会見する岸田文雄首相=首相官邸で2022年12月16日午後6時3分、竹内幹撮影
臨時閣議後、記者会見する岸田文雄首相=首相官邸で2022年12月16日午後6時3分、竹内幹撮影

 防衛力の抜本的な強化とその財源を巡る政府・与党の議論は、終盤に政治的駆け引きばかりが目立ち、戦後の安全保障政策の大転換に関わっているという緊張感はなかった。岸田文雄首相が着地優先の「足して2で割る」姿勢に終始したからだ。

 夏の参院選前、国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に防衛費の増額を目指す自民党公約について、首相は「国民の命を守るため何が必要か、中身、裏付けとなる予算、財源を詰める。数字ありきではない」と語っていた。しかし、2023年度から5年間の総額として首相が5日に打ち出した「43兆円規模」は防衛、財務両省が主張した額の間をとったに過ぎない。財源のつじつま合わせに陥るのは必然だった。

 首相は1兆円の増税方針を掲げつつ、所得税の負担は増やさないと宣言したのに、防衛費を捻出するために東日本大震災の復興特別所得税の課税期間を延長する。これを負担増ではないと言い張るのはさすがに無理がある。国債発行に慎重なそぶりを見せながら、27年度までのつなぎで自衛隊の施設整備に建設国債を充てる「裏技」も自民党との妥協策だろう。

この記事は有料記事です。

残り358文字(全文822文字)

【安全保障】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集