防衛財源、増税以外は「絵に描いた餅」 歳出改革、苦難の道のり
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防衛費増額の財源確保の裏付けとなる与党税制改正大綱が16日、決定した。増税で賄えるのはあくまでも一部で、政府・与党は歳出改革や税外収入の確保も徹底するというが、毎年度の安定財源としては心もとない。特に歳出改革は具体策を出せば大きな反発も予想され、大綱は「絵に描いた餅」となりかねない。
3兆円強「できうる限りの水準」
「税以外の財源の具体的な在り方についても引き続き丁寧に議論し、国民の皆様にも納得していただける形にしていかなくてはならない」。自民党の萩生田光一政調会長は16日、党内の会合でこう述べ、年明けから税以外の財源の議論を本格化させる方針を示した。
政府は2023~27年度の5年間で約43兆円の防衛費の確保に向け、計約17兆円の追加財源が必要となる計算だ。このうち約11兆円は増税以外で賄うことになった。
その土台となるのが歳出改革だ。政府・与党は23年度からの5年間で計3兆円強の歳出改革を進める方針で、毎年2000億円ずつ積み増して27年度までに1兆円強の財源を確保するという。財務省幹部は「社会保障費や防衛費を除き、できうる限りの水準」と厳しさを語る。
これまでの増税論議では、与野党の政治家から「増税の前にまずは歳出改革を」という声が目立った。だが、実際に歳出カットを進めるとなると個別事業にメスを入れることになる。過去に大規模な歳出改革に取り組んだ小泉純一郎政権も大きな抵抗を受けており、今回も各論が出てきた途端に政治家や業界などから反発が出ることが予想される。
増税以外の財源として他に5年間で計3・5兆円の決算剰余金を当て込む。毎年約1・4兆円出ている剰余金の半分の約7000億円を防衛費に充てていく計算だ。剰余金はこれまで補正予算の財源などに活用しており、防衛費に回ることで結果的に財政が苦しくなり、赤字国債の増発を招く恐れもある。
さらに「防衛力強化資金」という仕組みを新設する。政府資産の売却や、外国為替資金特別会計の剰余金の繰り入れ、新型コロナウイルス対策の補助金積立金の早期返納など税外収入を別枠で蓄えておく制度で、年明けの通常国会に関連法案を提出し、防衛費に優先的に充当する方針だ。
政府はこの資金を活用して5年間で計5兆円強を確保するというが、ほとんどは一時的な財源だ。27年度以降に恒久財源として当てにできるものではなく、「毎年の安定財源とみるのは無理がある」(自民党幹部)との声もある。
ある政府関係者は…
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