里山のシンボル・オオタカ 希少種から外れた後の実態は

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オオタカ=埼玉県で2004年6月、小林正康撮影
オオタカ=埼玉県で2004年6月、小林正康撮影

 里山のシンボル・オオタカ。大きな羽を広げて大空を雄大に滑空する。生息数は一時、激減したことがあり国から希少種に指定されたが、回復の兆しを見せてからは希少種から外された。それから5年。生息数は増えたのだろうか。

 冬になると愛鳥家らは樹林帯を歩き、首から下げた双眼鏡をのぞく。視線の先は、アカマツやスギ、ヒノキなど針葉樹の中央より少し上部だ。

 NPO法人「バードリサーチ」(東京都国立市)の担当者は「木々が葉を落としているので、オオタカの巣が遠方からでも見つけやすい」と話す。巣の位置を特定したら、翌春の繁殖期に改めて繁殖するつがいを確認する。

 オオタカが分布するのは北海道から九州だが、主には東日本の平地や低山の樹林帯で暮らす。食物連鎖の上位に位置するため、オオタカが生息しているということはエサとなる鳥や小動物もいるということになり、豊かな環境を示すシンボルになっている。

 一方、土地開発の影響を受けやすく、1980年代には生息数が推計で500羽を下回った。91年に「絶滅危惧種」になり、93年には種の保存法の「国内希少野生動植物種」(希少種)に指定された。

 希少種になると、生息地が保全の対象になる。2005年に開かれた愛知万博では、会場候補地でオオタカの営巣が確認され、会場の計画が変更された。

 こうした対策や密猟の取り締まりが効いたのか、環境省は「00年代になって成鳥は2000羽を超えるまで回復した」などとして「絶滅危惧種」から「準絶滅危惧種」にランクを下げた。17年9月には希少種からも外した。

 だが、つがいの数で見ると、回復…

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