国への忠誠心が解読される? 技術の危ない使い方
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政治思想が他人に解読され、為政者の意にそぐわない者が暴かれる――。そんな暗い監視社会の到来を予感させるような研究が、6月にウェブサイトで公開された。
「(中国共産党員の)政治思想教育の受け入れ度を把握し、学習効果を評価できます」。中国東部・安徽(あんき)省の合肥総合国家科学センターの人工知能研究院は、思想教育の効果を可視化できるとうたう装置を、そう宣伝した。
連載「拡張する脳」第2部は以下のラインアップでお届けします。
第1回 脳に「本音」を語らせる?
第2回 マスク氏が注目する新技術とは
第3回 脳波ビジネスは何をもたらすのか
第4回 「脳波買取センター」記者が足を運ぶと…(無料)
第5回 メタバースが脳と接続する時
第6回 バーチャル美少女ねむさんに聞く
第7回 脳波で車を操る時代は来るか
第8回 国への忠誠心が解読される?
第9回 機械に意識を「移植」
中国の学術界の総本山「中国科学院」の指揮を受けている国家科学センター。装置は、脳波や皮膚から感知できる電気的な特徴を計測して人工知能(AI)で解析し、思想教育を受ける際の集中力などを判定する、と説明されていた。
個々人の内心に踏み込む恐れがある装置の開発をアピールしたことに、国内外から批判的な声が上がった。英紙デーリー・テレグラフ(電子版)は「中国が『心を読むAI』を使って党員の忠誠心をテストしている」と報道した。
過去のネット情報を保存するアーカイブサイトで人工知能研究院のページを見ると、心理チームの担当教授による「指導者にとって(党の思想を)学習させる方法の改善や学習内容の充実に役立つ」という発言が確認できた。
毎日新聞は国家科学センターに開発の狙いをメールで問い合わせたが、回答は得られなかった。
政治的思想を識別?
脳と機械をつなぐブレーン・マシン・インターフェース(BMI)の技術は、病気などで意思疎通が図れなくなった人でも思いを伝えられる可能性がある半面、個人の思想といった内…
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