人権や差別…埋まらない溝 サッカーW杯、中東開催が残した課題
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サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は18日(日本時間19日)、アルゼンチンの優勝で幕を閉じた。外国人労働者の人権、女性や性的少数者らへの差別などを巡り、過去の大会よりも選手たちの発信が目立った一方、それを国際サッカー連盟(FIFA)が抑制する動きもあった。懸念された気候面を含め、中東初開催で浮き彫りになった課題がある。
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」運動など、近年は社会問題に積極的に発信するアスリートが増えている。日本が1次リーグ初戦でドイツを破った試合開始直前にもそうした場面があった。写真撮影の際、ドイツの選手たちは右手で口を塞ぐポーズを取ったのだ。
欧州の7チームの主将は差別撲滅を訴えるため、性的少数者を象徴する虹色を想起させる色鮮やかなハートマークと「One Love」の文字が入った腕章の着用を計画していた。しかし、規約で政治的スローガンを禁止するFIFAに「着用すれば警告など競技上の処分対象にする」と通達されて断念した。選手たちのパフォーマンスは、声を上げることを封じたFIFAへの批判だった。イングランドなども試合前に片膝をピッチにつけて抗議した。
スタジアム建設などを巡る出稼ぎ労働者の劣悪な労働環境は開催前から問題視されてきた。イスラム教国のカタールでは同性愛が禁じられ、女性の権利や自由も制限されている。欧州勢を中心に抗議の動きが広まったが、FIFAは沈静化に走った。
こうしたさなか、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「差別や人権の問題は当然、協会として良い方向に持っていきたい」としつつ、「この段階でフットボール以外のことで、いろいろ話題にすることは好ましくないと思う。今はサッカーに集中する時だ」と発言。静観を促す言葉は、競技を通じて不都合を洗い流そうとする「スポーツウオッシング」に加担するものとして、その姿勢を問われた。
サッカーと人種差別などをテーマに研究する神戸大の小笠原博毅教授(社会学)は「資本の力がFIFAの判断に影響を与えた。多額の資金を投じて貢献した開催地のカタールに配慮し、そん…
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