外国人客の「爆買い」も レコード人気再燃のなぞ
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アナログレコードの人気が止まらない。2010年代にじわじわと再燃し始めていたが、21年は生産数、生産額ともに前年から70%以上も増加した。新型コロナウイルス対策の入国規制が緩和され、円安も相まって、各地のレコード店で「爆買い」する外国人客もいるという。スマートフォン一つで世界中の音楽が楽しめる時代に、なぜレコードなのか。
来日客相次ぐレコード店
12月1日、東京・渋谷。この日オープンした中古レコード・CD店「レコファン MAGNET by SHIBUYA109店」で、ブライデン・バイさん(24)がレコードを物色していた。前日、豪メルボルンから来日したという。
「円安でチャンスだと思って来た。3週間滞在する。東京や大阪のレコード店を回る予定だ」と話す。手には、米音楽デュオ「サイモン&ガーファンクル」やカントリー歌手グレン・キャンベルなどのLPを数枚抱えている。「西洋の歌手の日本版レコードは豪州で高く売られている。帯が付いていて独特だね。でも、僕は売らずにコレクションにする」と笑った。
大手音楽ソフト販売「タワーレコード」で長年レコードを担当する田之上剛さんによると、入国規制が大幅に緩和された10月以降、同社渋谷店内にあるレコード専門店「タワーヴァイナル」では、一般の観光客から海外のディーラーまで、店内で20~30人の外国人が買い物している時もあるという。「記録的な円安と相まって(洋楽、邦楽を問わず)100枚以上買う人も珍しくない。日本の中古レコードは保存状態がきれいで、海外にはない独自の帯が付いていて人気」と分析する。
始まりは米国から
レコード復権は世界的な潮流だ。きっかけは08年、米国のレコード店関係者らがレコードの魅力再発見を掲げ、開催したイベント「レコード・ストア・デイ」(レコード店の日)だ。有名ミュージシャンが賛同し、店舗限定盤を発売。規模を拡大しながら毎年恒例のイベントに成長し、欧州や日本にも広がった。16年からはレコード製造大手「東洋化成」が11月3日(21、22年は12月3日も)を「レコードの日」と位置づけ、イベントを主催している。
日本では、…
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