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毎年12月に京都市で開催される全国高校駅伝競走大会(都大路)を中心とした高校駅伝に関するニュースサイトです

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男女ともレベル向上、高速化へ対応必要 元五輪代表が見た高校駅伝

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第4中継所で4区の倉敷の桑田駿介選手(右)からたすきを手渡される5区の田坂愛翔選手=京都市で2022年12月25日、滝川大貴撮影 拡大
第4中継所で4区の倉敷の桑田駿介選手(右)からたすきを手渡される5区の田坂愛翔選手=京都市で2022年12月25日、滝川大貴撮影

 男子第73回、女子第34回全国高校駅伝競走大会は25日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に行われ、男子は倉敷(岡山)が大会新記録の2時間1分10秒で4年ぶり3回目の優勝を果たした。女子は長野東が1時間7分37秒で初優勝を飾った。尾方剛・広島経済大陸上競技部監督が結果を解説した。

男子―4区で優勝に近づいた倉敷

 男子は倉敷と佐久長聖の2強と見ており、想定通りの展開となった。3区で倉敷のサムエル・キバティ選手が首位に立ったが、佐久長聖の吉岡大翔選手も差を15秒に抑えて、ここまではプラン以上の流れだったのではないか。ポイントになったのは4区。倉敷の桑田駿介選手が後続に追いつかせないどころか、区間賞の走りでリードを拡大して一気に優勝に近づいた。

 個々の選手に焦点を当てても、積極的な姿勢が光った。3区で吉岡選手が22分51秒を記録したが、今年は条件が比較的良かったとはいえ、23分を切ることは簡単ではない。やり遂げたのは彼のポテンシャルの高さ。世界の舞台で戦いたい、留学生にも勝負できるという決意が伝わってくる走りだった。これからも小さな枠に収まるのではなくて、世界で結果を出すことを意識した練習を重ねてほしい。

 また1区の西脇工・長嶋幸宝選手は、昨年同様スタート直後から飛び出した。昨年はそれが結果につながらなかったが、同じ展開をもう一回やる勇気、意地を感じたレースとなった。最初からたすきを渡すまでトップを守り切る。背中で自分を表現し、高みを目指しているような雰囲気があり、今後どこまでいくのか、期待感を持たせてくれた。

女子―持てる力を積み重ねた長野東

5区2・7キロ付近、長野東の村岡美玖(左)が仙台育英の細川あおいを引き離す=京都市で2022年12月25日、中川祐一撮影 拡大
5区2・7キロ付近、長野東の村岡美玖(左)が仙台育英の細川あおいを引き離す=京都市で2022年12月25日、中川祐一撮影

 女子のレースからは「普段通り」に力を出し切ることの難しさを感じた。初優勝の長野東は今大会、優勝候補筆頭として名前が挙がる機会が少なかったチームだったが、5人が持てる力をきっちり発揮することの積み重ねで、流れが加速していった。仙台育英や神村学園も実力的には間違いなく優勝を狙えたが、選手たちには大きな重圧もあったと思う。自信を持ち、普通に走れることが「当たり前」となるためには、メンタルを鍛えたり、場慣れしていったりするしかない。今回の経験を重ねたことで、また来年は、どんなレースが展開されるのか今から楽しみだ。

 男女とも高校生のレベルの向上は著しい。特に男子は5000メートルの持ちタイムが13分台の選手が複数人いるチームもある。優勝タイムも今年は、倉敷が2時間1分10秒の大会新記録を出したが、来年には2時間1分を切る可能性もあるし、近い将来2時間を切らないと優勝できない流れになってくると思う。高速化に対応するトレーニングを各チームは考えていく必要がある。

尾方剛・広島経済大陸上競技部監督 拡大
尾方剛・広島経済大陸上競技部監督

 高校駅伝の先には大学や実業団などで競技を続ける選手もいる。この高校駅伝で満足せずに、その先につなげてもらいたい。高い目標を持ち「こういう結果を残したい」「そのために何をすべきか」というところまで考え方を発展させることで、この大会がすごく意義深いものになると思う。(2008年北京オリンピックマラソン代表、広島経済大陸上競技部監督)

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