7500万円福袋誰が買う?エースが明かすめくるめく「外商」の世界

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松坂屋名古屋店のエース外商員、山田昌宏さん。喫茶店であらゆるファッション誌に目を通し、最新情報を仕入れている=名古屋市中区の同店で2022年11月24日午前10時26分、太田敦子撮影
松坂屋名古屋店のエース外商員、山田昌宏さん。喫茶店であらゆるファッション誌に目を通し、最新情報を仕入れている=名古屋市中区の同店で2022年11月24日午前10時26分、太田敦子撮影

 シャンパン片手にプライベートジェットでハワイの旅――。「名古屋三越」が2023年のスタートに用意した福袋の中身の一つだ。価格は7500万円。単なる話題作りかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。百貨店の花形部門「外商」を通して見えてきた、富裕層の姿とは。

ピアノに高級車、反応は上々

 福袋は他にも、天板に豪華な装飾を施したアートグランドピアノ(850万円、ピアニストを自宅に招いたホームコンサート付き)▽英国の高級車アストンマーチンとイタリア旅行のセット(3319万円)などがある。いずれも「非日常な体験」がテーマだ。

 気になる反応は「(12月25日時点で)まだ正式な申し込みはありませんが、問い合わせは頂いています」(同店広報)。企業オーナーをはじめとする外商客から「地域経済を盛り上げたい」「他業種と協業して商品を開発しているのがいいね」といった声が寄せられ、具体的に検討中の人もいるという。

 企画を担当したのは、22年に外商部に新設された「新規ソリューション担当」。多様化する富裕層のニーズに応えようと、車や不動産など他業界とも連携して商品やサービスを提供する。超豪華なハワイ旅行のプランも、中部国際空港会社とタッグを組んだ。

 来年1月3日まで受け付け、複数の申し込みがあれば抽選となる。福袋とは言っても、旅行などの目録を入れた袋を店内に置いているわけではなく、外商の担当者が顧客に連絡し、出発時期や機内での過ごし方を相談する。ちなみにハワイ旅行は3月31日までの出発となる。

エース外商員の仕事とは?

 愛知県には外商文化が根付いている。百貨店の中でもとりわけ外商が強いと評判なのが「松坂屋名古屋店」で、外商の売り上げが全体の半分を占める。担当(外商員)は約130人。外商生活を送る富裕層とは果たしてどんな人たちなのか。半期で2億円を売り上げるエース、山田昌宏さん(54)の仕事をのぞいた。

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