食に迫る気候危機 暑さに強い品種開発…病害や霜、さらなる高温
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「ここまで影響が出るのは想定外だった」。高知県環境農業推進課の担当者は、14年の歳月をかけて県が開発したブランド米「よさ恋美人」が直面する事態に肩を落とす。
よさ恋美人は、地球温暖化で深刻化する夏の暑さに対応するため、コシヒカリと高温に強い品種「ふさおとめ」の交配などを繰り返して開発された高温耐性品種だ。2018年に県内で本格的な栽培が始まった。
ところが、県の期待に反して普及は思うように進んでいない。
高品質のコメ減少、価格上昇の恐れ
「いもち病の流行で農家に毛嫌いされてしまったのが最大の原因だ」。JA高知県の担当者はそう打ち明ける。いもち病はカビの一種が原因の病害で、穂が出る時期に雨が多いと発生が多くなるとされる。
よさ恋美人は暑さには強いが、コシヒカリよりもいもち病への抵抗力が弱い。県内では20年、梅雨の長雨でいもち病がまん延し、翌年から栽培品種をコシヒカリに戻す動きが広がった。県内のよさ恋美人の作付面積は181ヘクタール(20年度)から21年度には146ヘクタール、22年は114・5ヘクタールにまで減った。23年度に1100ヘクタールまで拡大させることを目指していたが、極めて困難な状況だ。
気象庁気象研究所の分析によると、温暖化で大気中の水蒸気量が増え、今世紀末には梅雨時期の降水量が増加すると予測されている。気候変動に備えるには暑さだけでなく、雨の降り方の変化や、それに伴って懸念される病害にも対応しなければならない。
気候変動に伴い、日本の農漁業の現場でさまざまな異変が確認されている。おいしい食材を食卓に届け続けるため、生産現場では模索が…
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