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渋沢栄一とハンセン病 /埼玉

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 新1万円札の顔となる24年に向けて盛り上がる渋沢栄一ブーム。深谷市の渋沢栄一記念館を訪ねた。リーフレットに書かれた「生涯を学ぶならここ」というキャッチコピーにたがわず、ゆかりの資料が並び充実した展示である。

 その生涯、設立に関わった企業は約500社。福祉の考えが定着していない時代にあって、社会事業にも力を尽くした。ベテラン解説員の塚田允さんが「病院などの設立は600を超える」と教えてくれた。渋沢が手がけ半世紀にわたって院長を務めた、救貧施設「養育院」(東京)のコーナーもあった。

 けれども、探していた展示はなかった。掲示の年譜を見ても、「宮中に参内、単独御陪食の栄に浴する」の項目はあっても、その2年後の1931年に渋沢が初代会頭を引き受けて発足した癩(らい)(ハンセン病)予防協会に関する記述はない。後に国を挙げての患者の強制隔離政策の一翼を担った組織である。

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