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少数者が活躍する環境=関西広域連合有識者委員・渥美由喜

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 「女性活躍」という言葉を見るたび、「いつ次の段階に進むのか」とじれったくなる。

 10年前、コンサルティングした「発達障がい者の就労支援」に取り組むNPOの事例を紹介する。発達障がい者は、ネガティブ要素の裏に才能が隠れているケースが多い。ある女性は、極度の潔癖症でコミュニケーションが苦手なため、十数回転職していた。NPOが紹介したのは高級外車を扱う自動車販売会社。彼女は、「髪の毛一本見逃さない=高感度ごみセンサー」の特性で納車係として活躍している。口コミで指名客が急増したため、障がい者枠で入社した彼女だが、通常よりも高い給料になった。

 会社からNPOに「同じ特性の方を」と求人が届いたが、なかなか難しい。特性は多様だし、たいてい成長過程で矯正されてしまうからだ。彼女が幸運だったのは、何度失敗しても励まし続けたご家族が存在し、特性を生かすセンスを持ったNPO事務局長と出会ったことだ。

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